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アベノミクスの正体

2020年11月20日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

前回は野口悠紀雄教授の「経験なき経済危機」の中から、私が今までずっと「おかしいな」と疑問に思っていた「異次元の金融緩和」に関する疑問を解消してくれる指摘をご紹介しましたが、第三回目の今回はそれに引き続き、アベノミクスそのものの本質について考えてみたいと思います。

まずは、アベノミクスの内容をもう一度思い出してみましょう。

第一の矢=異次元金融緩和 第二の矢=財政政策(公共投資の積極活用) 第三の矢=成長戦略

これら三つの矢は、それぞれが別々の目的を達成するためにあるのではなく、この三つが有機的に結合することで「景気のエンジンを回す」というのがアベノミクスの「本質」です。

しかも、その本質を掘り下げれば、第三の矢である「成長戦略」こそが目的達成のためのメインエンジンということが分かります。

なぜなら、第一の矢である「異次元金融緩和」は、前回見たように実需がなければ全く機能しませんし、第二の矢である「財政政策(公共投資の積極活用)」は、財政の悪化(後の増税)と直接の引き換えになるため持続可能ではなく、一時的なカンフル剤的なものであると考えるべきです。

つまり、持続的なアベノミクスの有効性とは、第三の矢である「成長戦略」すなわち、実際に新しいビジネスが起こって資金需要が発生するような戦略が実現した時、第一の矢である「異次元金融緩和」との合わせ技で生じるものであってあるということです。

ですから、この第一と第二の矢はあくまでも補助エンジンに過ぎないと考えるべきです。

実際に、第二の矢はコロナ前までの建設業界などの活況を思い出せば、確かに機能していたと思いますが、一部の業界だけでは不十分であったし、また財政的に持続可能ではありません。

であれば第三の矢である「成長戦略」を達成できなかったことで、第一の矢である「異次元金融緩和」も無意味になったということを考えると、アベノミクスの本来の目的は達成されたとはとても言えないでしょう。

つまりは、前回の記事の最後の疑問である「ではなぜ、アベノミクスを考えた政府、財務省、そしてその政策に協力した日銀というその道のプロがこんな当たり前のミスを犯したのでしょうか。」に対する答えは、「計画のミスではなく、そもそも計画の成功が本来的に非常に困難なものであった」ということなのだと思います。

本書によってずっと抱えていた疑問が解消されてスッキリとはしましたが、残念ながら実態を理解して日本の将来への不安はより深まった感じです。

 

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