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バックキャスト思考

2019年9月25日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

皆さんは、「バックキャスト思考」という考え方をご存知でしょうか。

本書を読むまでお恥ずかしながらそのような思考法の存在を知りませんでした。今回はこの考え方を解説した「正解のない難問を解決に導くバックキャスト思考」をご紹介します。

「70億人が暮らす地球で、世界中のあらゆる人が平均的なアメリカ人と同等の暮らしをすると、人類のO2消費とCO2 排出をまかなっていくために、地球4.5 個以上の生物生産力が必要とされます。日本人と同じ生活をした場合は、地球が2.3個必要。インド人と同じ生活をすると、地球は半分だけで足りることになります。」

このような情報を与えられて、どう行動するのかを導き出す思考として、「フォーキャスト思考」と「バックキャスト思考」の二つがあると本書では言います。

普通に考えたら、「やばい、だったら世界中がインド人に近い生活をしなければならない。そのために、あらゆることを我慢しよう!」という考え方が前者の「フォーキャスト思考」です。

この考え方は、目の前の制約条件(問題)を否定(排除)して解を見つける思考法と言われます。

ただし、これだとその制約を排除するために「我慢」を強いることになります。

しかし、人間は一度手に入れた快適さを捨てることができない性質を持っており、アメリカ人や私たち日本人の全員がその制約を排除するためにインド人と同じ生活水準に落とすことは現実的ではありません。

そのため、あまり有効な思考法とは言えませんし、私たち人類はいまのところこの思考法によって結果を出せているとは言えません。

それに対して、「バックキャスト思考」は制約(問題)を肯定して受け止め、その制約の中で解を見つける思考法と言われます。

例えば、制約(問題)自体をエンターテイメントに変え、ガマンではなく楽しみながらその現状を受け入れるというものです。

この地球環境の問題は、あまりにも複雑で難しい問題なので、何か一つのアイデアですべて解決できるようなものではありませんが、この「バックキャスト思考」の例として本書において以下のようなものが挙げられていました。

「2030年の入浴風景です。現在、日本人の多くがゆったりとした湯船で毎日入浴するのが一般的ですが、これには約300Lの水を常温から約40度に上昇させる必要があります。おそらくエネルギーと水の供給を考えるとそのまま維持することは難しいと考えられます。そこで私たちは、『これからも毎日の入浴を楽しみたい』という豊かなライフスタイルという目的のために『水やエネルギーは足りない』という制約はそのまま受け入れ、『水やエネルギーのいらないお風呂があればよい』という解の方向性を示すことで『水のいらない泡のお風呂』という製品を開発しました。開発のヒントになったのはアワフキムシという昆虫の生態です。アワフキムシの幼虫は植物の汁を吸って、余分な水分を排泄するのですが、この排泄物には有機物と空気が含まれており、泡状の石鹸のようになっているのです。この泡がアワフキムシのさなぎを覆うことで、外敵や紫外線、外気の温度変化から身を守るという仕組みです。空気を多く含む泡には、高い断熱性があるのです。この仕組みを利用することで、従来の100分の一の水量を約70度に熱した泡状にすることで全身を包み込み、十分に温めることのできる浴槽を実現したのです。しかも、泡が弾けるときに出る超音波によって皮膚の汚れを落とす働きがあり、その汚れ成分は泡の表面張力に引き付けられるので、皮膚に負担をかけずに効率よく体を清潔にすることができます。」

つまりは、この「水のいらない泡のお風呂」というアイデアは、水、エネルギーともに大幅に使用量を減らしながら、しかしそれはガマンではなく、新たな付加価値が追加された解決方法になっています。

「バックキャスト思考」によって、様々な方面からこのような解決方法を導き出し、その積み重ねによって現代の複雑な問題に対処していく必要があることを痛感しました。

 

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