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マルクス経済学

2020年8月26日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

前回ご紹介した「父が娘に語る経済の話」を読んで、経済の根本的な仕組みをストーリー仕立てで理解できたことに気をよくして、今までずっと手を付けることができず本棚の中で眠っていた「マルクス経済学」という本を読んでみることにしました。

いやー、勇気がいりましたよ。

しかし、やはり前回の分かりやすい経済の話が非常に良い予習となったようで、カール・マルクスという大思想家とその体系である「マルクス経済学」の触りくらいは理解できたような気がします。

「マルクス主義」という言葉は、資本主義の世の中において一般的には、マイナスなイメージをもって受け止められています。いや、マイナスどころか、「暴力的思想」とも思われているかもしれません。

それは、「革マル派」など過激派グループの代名詞としても使われてきた歴史があることからも否定はできないと思います。

しかし、本書を読むことで、彼の思想を冷静にとらえることができるようになりました。

例えば、私を冷静にさせてくれたいくつかの記述を以下に引用したいと思います。

「マルクス経済学はもともと労働者側にのみ偏った理論ではなく、資本主義に反対したものではない。そうではなく、産業革命を経て経済学自体が『私利を離れた』そして『客観性のない』、つまりは科学的ではない学問(もはやそれは学問ではない)になってしまったことに対して修正を求める理論だと理解すべきだ。」

そして、次のように続きます。

「資本主義が必要な時代がどの国にも必ずあり、そのことはその限りで資本家階級をサポートしなければならないことを意味する。たとえブルジョワが政権をとっていても、資本主義という社会制度がすぐに不要となるわけではなく、それは資本主義が生産力発展にとってすでに時代遅れとなったのかなっていないのかに依存する。つまり、依然として有効な体制である限りはマルクス経済学もまた、本質的に資本主義の擁護者でなければならない。現在、中国やベトナムではマルクス主義政党が資本主義的発展を推進しているが、それは完全に正当なことである。しかし、同時にその微妙な推進のあり方が客観的科学的なものになっているか=行き過ぎた資本家擁護になっていないかどうかが問題となるのである。」

ソ連の崩壊を例にとることで、社会主義(マルクス主義)はすべて誤りだったと断罪するようなことは、この説明を読む限りで、マルクス経済学の本質を外してしまっているのかもしれません。

それは、ソ連も中国やベトナムも、一旦はマルクス経済学の言うところの、資本主義が発展していない段階での社会資本化してしまったというタイミングの誤りがあり、またそれをコントロールする人間の不完全性をコントロールすることができなかったことから、本来のマルクス経済学の目指すゴールにはたどり着けなかっただけだとも考えられるからです。

現在、彼らはその誤りを正し、資本主義を成長させるプロセスを歩んでいる段階だと理解すべきでしょう。

ただ、私たち西側陣営もそして、彼らもその先に、資本が十分に蓄積され、その資本を平和的に社会資本化するという本来のマルクス経済学の目指すゴールにどのように到達するのかということについては、なかなか、明確な答えを見つけられずに、資本主義の限界が近づいているというのが現状ではないでしょうか。

ただ、ここへきて私としては、コロナ禍における「雇用調整助成金」や「持続化給付金」そして、「国民一律10万円の給付」などの政策を見るにつけ、BI(ベーシックインカム)などのアイデアが、本来のマルクス経済学の目指すゴールに結びつくツールとなりうるのではないかという微かな期待を持ちつつあるのも事実です。

カール・マルクスが今の状況を見たら何というのか聞いてみたいです。

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