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「医療崩壊」の謎

2020年12月25日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

感染者数の増加によって第三波と呼ばれるフェーズに入ってから医療崩壊が叫ばれるようになっています。

私にはそれ以来、ずっと疑問だったことがあります。

それは、日本の状態が欧米のそれと比べ1/100にも満たないという状態にもかかわらず、欧米と同じように「医療崩壊」の危機に瀕するということは、逆を返せば日本の医療は欧米に比べ1/100ほどに脆弱なものだったということかというものです。

しかしながら、この単純な疑問に答えてくれる一般的なマスコミ報道に触れたことがありません。

と思っていたら先日偶然にも、この疑問にズバリ答えてくれるビデオニュースを目にしました。

これはどちらかと言えばマイナーな有料メディアですが、その概要が分かる「ダイジェスト版」が公開されていましたのでそれをご紹介します。

こちら→VIDEONEWS

このMCをされている方ですが、どこかで見覚えがあると思ったら、かつて日産の元社長ゴーン氏の反論会見を取り上げたブログ記事「専門英語のベスト教材としての『ゴーン弁護団会見』」でもご紹介していた神保哲生氏でした。

以下にその内容を要約します。

「日本の医療は欧米のそれと比べて遜色ないというか、むしろより優れていると言える。ではなぜ現在のコロナの状況は、欧米の1/100に過ぎないのに、医療崩壊の危機が叫ばれるのか。それは、単純にコロナ患者を受け入れる医療機関が限られてしまっているから。つまり、これだけ国家的な危機だとマスコミ等で大騒ぎしている中でも、日本の医療機関のうち、自ら手をあげてコロナ感染に対応する医療機関となろうとする病院が公立で76%、公的で63%、民間では36%に過ぎないということ。現在の医療法では都道府県は医療機関に対して病床の転換やICUの設置、感染症患者の受け入れなどをお願いすることしかできないのだ。しかも、日本は欧米と比べると公立の医療機関よりも民間の医療機関が圧倒的に多いため、コロナ患者を受け入れることで従来の患者を失い、結果的に経営が圧迫される可能性がある民間の医療機関は、政府からお願いをされてもコロナ患者を受け入れようとはしない。つまりは、対応している病院は疲弊しきっている割に、そうでないところは我関せずを押し通している状態だということ。第一波、第二波を経験した上で冬場は感染者が急増すると予想され、かつGOTOトラベルで積極的に活発な人の流れを作ったのだから、感染者が増加することは分かり切っていたわけで、あらかじめ政府が何かしらの法定根拠をもってこのパーセンテージを十分な水準まで押し上げておくべきだったはずなのにそれを怠ったが故の当然の結果である。すなわち、日本の医療が欧米と比べて脆弱だということではなく、コロナに対応させる医療が全体のほんの一部に限定されてしまっているからというのがその理由だ。」

ちなみに、解説の中で公立病院と公的病院という似たような言葉が出てきたので調べてみました。

公立病院とは、地方自治体によって運営される、すなわち税金によって支えられる病院をいい、公的医療機関とは、済生会、日赤など公益法人等によって運営されるが、民間病院と同様、独立採算を原則とした病院をいいます。

さすが神保氏、前回の会見の切れ味も相当なものでしたが、今回の切れ味も単純すぎるほどにキレキレなものでした。

いや、切れ味が抜群すぎて、その結果導き出された理由があまりにも単純で情けないのには正直あきれ果ててしまうほどでした。

このビデオニュースによってこの問題の本質に気づかされた私は、感染者の増加が報道されるごとに、日本医師会や東京都医師会の会長さんが、「医療緊急事態宣言」を発しながら、経済活動の抑制を訴える姿を見るたびに「違和感」を覚えることが多くなってきました。

そこで、この医療提供側の論理をより詳細に説明しているサイトはないかと探しましたところ、このような記事を見つけました。

医療が逼迫する原因は感染拡大ではない

ということは一事が万事で、日本の医療はこれに限らずもっと大きな問題を抱えているのではないかというもう一歩踏み込んだ疑問が持ち上がってきてしまいました。

医療という人間の命のやり取りをする本来、最もちゃんとしていなければならない業界が抱える問題を正面から見つめることは少し恐ろしい気持ちがしますが、こちらについても近いうちに改めて考えてみたいと思っています。

 

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