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学校の「当たり前」をやめた。

2019年9月20日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

教育を考える上で本当に参考になる一冊を見つけました。

最近メディアなどで取り上げられることも多いのでご存知の方も多いかと思われますが、東京都千代田区立麹町中学校の工藤勇一校長の「学校の『当たり前』をやめた。」です。

東京の一公立中学において、「宿題を出さない」「中間・期末試験を廃止」「固定担任制の廃止」など、世の中があっと驚く改革を断行し、結果を出されていることで有名な方です。

そして、この本が特徴的なのは、この本の購入層が教育関係者だけでなく、ビジネスマンがビジネス書として本書を認識し、購入することからベストセラーとなっていることです。

そのため私も誤解してしまったのですが、著者は以前にこのブログでもご紹介した藤原和博先生のような民間人校長ではなく、完全なるプロパーの校長先生です。

ということは、学校教育の改革はその気になれば内部からでも可能ということです。

ビジネスマンではなく教育者である著者がビジネスマンの心をつかむ理由は、その発想力もさることながら、その発想を現実の組織に適用する実行力にあると思います。

なぜなら、いかに画期的で本質的なものであっても、現状とのギャップがありすぎるものを急に実行するには組織の構成員の反発が大きく、その成功率を下げてしまうため、著者が小さな改革を一つずつ成功させ、その成功例をコツコツ積み上げることで、彼らの納得を得ながらゴールへと導くという方法は、完全にビジネスの世界で求められているリーダーシップそのものだからです。

「宿題」、「定期試験」、「固定担任制」、これら「学校の当たり前」を廃止することは一見すると無謀、無茶ではないかという意見が出てきそうです。

しかし、このような学校教育の大半の部分は「不合理」であることに気づきます。

例えば、一律的に課される「宿題」は、授業の中ですでに理解できてしまっている生徒にとっては時間の無駄であり、逆に理解できていない生徒にとっては重荷でしかありません。

本来は、一人一人の理解の程度に合わせた家庭学習の題材が必要なわけです。

「定期試験」は、範囲を決めてその範囲の中だけの理解をチェックするものですが、本来はそれまでに学習したすべてを理解しているかどうかが問われるべきです。

ただし、段階的チェックは必要ですので、単元テストを細かく実施することで対処すべきです。

「固定担任制」に至っては、なぜこれが今まで「学校の当たり前」とされてきたのか全く分かりません。というのも、これでは教師の「アタリ」「ハズレ」のリスクをまるまる生徒に負わせることになるからです。

しかも、学年では複数の教師が存在しているわけですから、より多くの大人の個性に接する機会を敢えて排除してしまうことになるからです。

このように、「学校の当たり前」の大部分は、実は「慣例」によって継続されているだけであって、それ自体に本質的な意味はなくなってしまっていることの方が多いのです。

そして、それらはあくまでも「慣習」であって「法令」ではないので、著者の例のように、校長が覚悟をもって対処すれば、公立学校であっても変えることができるのです。

そして著者は、これら本質的な意味のない「慣習」の積み重ねが日本の「生産性の低さ」を作り出しているという指摘をされていますが、私はまさにその通りだと思います。

 

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