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帝国主義の「帝国」って何?

2021年7月18日 CATEGORY - 代表ブログ

以前ご紹介した「サピエンス全史」にずっと前から疑問に思っていた重大なテーマに関する問題が氷解するような内容が書かれていましたのでご紹介します。

そのテーマとは「帝国主義」の「帝国」の意味するところです。

かつて「日本人と英語ブログ」にて「英語帝国主義とは何か」という記事の中で、「英語帝国主義」の意味する本当のところを明らかにしました。

具体的には、「英語帝国主義」とは、英語を国際共通語であると世界が認める方向に進めることにより、次第に「世界の土俵」が英語で作られることから、ありとあらゆることがその解釈を英語を母国語として使用する人々に有利に運ぶ状況を作ってしまう状況のことです。

このような状況を近代の「帝国主義」になぞらえて「英語帝国主義」と呼んだということです。

そのことについての理解は進んだのですが、実は私にはまだもっと前の段階での疑問が晴れていませんでした。

それは「帝国主義」そのものについてです。

一般的には冒頭の絵のように「大英帝国」「ドイツ帝国」「ロシア帝国」「大日本帝国」のように君主が支配する国がその領土を広げることを最重要政策とする考え方のことをいると考えられていると思います。

ただ、この世に誕生した時から民主主義国家であったアメリカ合衆国についても「米帝」などとして「帝国主義」のうちにカウントする場合がところどころで見受けられます。

このことがどうしてもしっくりこなくてずっと疑問だったのですが、本書にはその疑問が氷解するような「帝国」の定義が書かれていたので以下にその部分を引用します。

「帝国とは次の二つの要件を満たすものである。①それぞれが異なる文化的アイデンティティと独自の領土を持ったいくつもの別個の民族を支配していること。②変更可能な境界と潜在的に尽きることのない欲を持つこと」

ですから、必ずしも皇帝など君主によって支配されていなくても帝国でありうるものですし、たとえ君主が君臨していても、帝国ではないこともありうるということです。

前者で言えば、ハワイを王国を廃して併合したり、フィリピンをスペインと争って植民地化した当時のアメリカ合衆国はたとえ政体が民主主義であっても「帝国」でありえたし、後者では、サウジアラビア王国は現在でも君主制を維持しながら多くの異なる民族を支配していますが、現状以上の領土を無尽蔵に拡大する意思は見られないので「帝国」とは言えないということになろうかと思います。

その意味で言うと、「英語帝国主義」という考え方は非常にしっかりしたコンセプトに裏打ちされているものだと改めて思います。

 

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