ぼくたちの英語 #57
2014年6月19日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 ぼくたちの英語
【著者】 黒田龍之助
【出版社】 三修社
【価格】 ¥1600 + 税
【購入】 こちら
#55でご紹介した「語学はやり直せる」の黒田龍之助氏の著作です。
本書には外国語学習オタクである著者の「英語を楽しむ」ことの重要性を説くメッセージが詰まっています。そして、「語学はやり直せる」でも触れましたが、全編において著者の「本音」に満ちた言葉の数々が非常にきもちいい内容となっています。
そんな著者の「本音」トークでとっておきなものを二つ引用してご紹介します。
まず一つは、「英語を子供に学ばせたくて仕方がない大人」のお話です。
「現代の中高生の親の世代では圧倒的多数が英語ができない。だが、『自分は英語ができなくても、ここまでちゃんとやってこられたんだから、子供だってそれでいい』という人はめったにいない。<自分は英語ができなかったから、せめて子供だけはできるようになってほしい>こちらがほとんど。大変な期待を寄せているのである。」
このようなことは、現代に限らず著者が子供のころからのことだそうで、
「このような親は子どもを『英語塾』なるものに通わせた。これだけ周りが熱心に英語を勉強していればいつかは日本中で英語が話されるようになるのではと想像していたのだが、見事に裏切られた。」
このような結果になった原因を著者は非常に気持ちよく言い当てています。
「そのような親が子供に『そういう自分はどうなんだよ』といわれて返す言葉がないことだ。」
もう一つは、「英語よりも国語を重視せよという大人」の話です。
「こういった主張をする人に共通する特徴は当然ながら英語が得意ではないことだ。外国語に対するコンプレックスが強いのである。ところが渡る世間は英語ばかり。面白くない。だから自分の得意な国語に世間を引き付けたいと考えるのである。この考えは決して少数派ではなく、多くの人が支持している。」
私も、小学生までの段階ではこの考えは正しいと考えています。しかし、ここでは教える時期の問題ではなく「英語」そのものを敵視しているという意味のようです。そして、それに対する著者の切り返しがまたとても気持ちいいです。
「国語か英語かという、二者択一になってしまうのはなぜだろう。どちらか一つを必ず選ばなければいけないのか。そんなことはない。国語と英語、どちらも勉強すればいいじゃないの。」
この二つのエピソードは日本の大人にとって非常に「耳の痛い」話だと思います。日本人の「英語コンプレックス」はまさに、大人が作り出しているという指摘に他ならないのです。
中学校、高等学校、大学、文科省に日本人の英語下手の責任を押し付けるのは的が外れています。日本人の大人一人一人の問題としてとらえることが、この問題の解決の唯一の手段です。日本人の大人が、「英語を楽しむ」姿をいかに下の世代に見せることができるか。
「私は英語ができなかったから子供だけは」なんて言い訳に過ぎない。私もこの点について著者と全く同感です。「私は子供と一緒に頑張る」と腹をくくれる大人が一人でも増えることを願っています。また、そう思える大人を増やすことが私たちの使命でもあると思っています。
頑張ります!
文責:代表 秋山昌広