伝わる英語表現法 #260
2021年11月20日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 伝わる英語表現法
【著者】 長部 三郎
【出版社】 岩波新書
【価格】 ¥900 + 税
【購入】 こちら
前回までの連続四冊が「『高尚』で『まどろっこしい』英文に対してどのようにアプローチしたらよいか」、すなわち「英語を読む」ことについてどっぷり取り組む内容でしたので、ようやくこのブログらしい内容といえばそのとおりの内容の本に戻ってきた感じです。
私はランゲッジ・ヴィレッジのウェブサイトで、日本人が英語をスムーズに使えるようになるための重要なポイントとして、「しなやか英語」に着目してその重要性を訴えてきました。
本書はまさにそのことをまるごと一冊で訴えています。
しかも、本書の著者は今から57年も前にアメリカ国務省の言語部勤務の経験があり、現在85歳になられるまでずっと「英語を使う」ことに生涯をささげてこられた方です。
そんな著者の「しなやか英語」と「ごつごつ英語」に関する問題意識がよく分かる一節を引用したいと思います。
「単語帳で単語を覚えるということが染みついている日本人の英語の学習の仕方に諸悪の根源があり、ここからすべてのミスマッチが始まると考えます。これではまるで英語の生体解剖ではありませんか。この時点で生きていた英語は文字通り解体され死んでしまいます。日本語と英語は使う上でおよそ共通点はありません。(一部加筆修正)」
つまり、多くの日本人は、英語を生きた状態でインプットすることがないから、アウトプットができないということです。
英語との間に非常に大きな言語的距離のある日本語を母国語とする私たち日本人には特に、「生きたままの英語を取り込み、それを吐き出す」という訓練が必要不可欠であるということを改めて認識させられます。
まさに「我が意を得たり」と思わされた一冊でした。