総理通訳の外国語勉強法 #247
2020年12月9日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 総理通訳の外国語勉強法
【著者】 中川 浩一
【出版社】 講談社現代新書
【価格】 ¥840 + 税
【購入】 こちら
本書は、外国語を学ぶスタンスの本来あるべき姿を明確に再認識させてくれます。
というのも、私たち日本人は中学校から英語を義務教育の範囲で学び始めます。
そして、そのスタンスは1クラス30~40人という大人数を前提としているのでどうしても「インプット」中心にならざるを得ません。
海外留学などの機会を得た場合を除けば、おそらく高校そして大学受験を経て社会人になるまでそのスタンスが「当たり前」であり、外国語の学習スタンスとして体に染みついてしまうものです。
ですから、社会人になって「実用的」に外国語を身に着ける必要性が生じた場合にも、よほど特殊な気づきがない限り、そのスタンスを踏襲してしまうものです。
本書の著者は、外交官になって図らずも「アラビア語」という日本語とも英語とも全く言語的に遠い言語を学ぶ必要に迫られました。
それは、文法どころか文字も発音もまったく「(意識的には)見たことも聞いたことも」ない言語です。
だからこそ、一般的な日本人がデフォルトで持ってしまっている「インプット」中心という外国語の学習スタンスから自由になることができ、「実用的」に外国語を身に着けるために最も本質的・効率的・効果的なスタンスをゼロベースで編み出そうというモチベーションが生まれたのだと思います。
それは、日本人ならば自分の言いたいことは「日本語で」頭に浮かび、純粋にそれをアラビア語にして相手に伝えたいという「アウトプット」というスタンスに立つことです。
何のために外国語を学ぶのかを考えれば、至極当たり前のことなのですが、12歳から18歳くらいまでに刷り込まれたスタンスというのは、このように人間の行動を本質的なものから遠ざけてしまう力があります。
その最も基本的なことに気づかせ、引き戻してくれる一冊です。