
英語で考える本 #108
2015年4月13日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 英語で考える本
【著者】 松本 亨
【出版社】 英友社
【価格】 ¥1,800 + 税
【購入】 こちら
「英語で考える」という主張については私は従来からあまり積極的な賛同をしてきませんでした。というのは、少なくとも、「日本語で考える」ということが当たり前になった時期、すなわち中学から英語を学び始める日本人にとっては、まず日本語で言いたいことが頭に浮かぶはずですから、当然それをどう英語に直すのかということが、英語を話すことだという大前提があると思っているからです。
しかし、本書を読むと、松本先生の言っている「英語で考える」という主張は、理屈としては成立しうるものだと思わされるのでした。特にそれを印象付けられたのは以下の言葉です。
「人間の頭がいかに精密にできていても、無から有は生じない。私の頭の中にロシア語はない。私はどうしてもロシア語でものを考えたり、ロシア語で話したりすることはできない。同じようにあなたが英語でものを考えようとするとき、頭の中に多くの知識と経験が英語で蓄積されていなければ、できるはずがない。」
まさに、当たり前のことを当たり前におっしゃっているのです。その中で、どのようにして、日本語で物を考えることが当たり前の頭に、英語でものを考えられるような英語の知識と経験を蓄積していくのかということが問題なのだということに焦点を当てられています。
その答えが、「いきなり難しいものからはじめてはいけない。そして、一朝一夕で身につくわけがない。だから、優しい段階から難しい段階まで、兎に角、英語になれる訓練を継続するということ。それが多読。」
いかにも、正論。それができれば、おっしゃる通り可能だろうと思います。ただ、この英語に触れる環境が非常に少ない日本においてそれを続けるということ自体が非常に難しいという現実があります。
だからこそ、本書は段階を追って、無理なく、少しずつレベルを上げながら「英語でものを考えられるような英語の知識と経験を蓄積していく」ことを実現するための自習書としては貴重なものだと思います。
ただ、現実には、本書のみを使って自らを律しながらそれを実行できる人は、非常に限定されるのだろうとは思います。
文責:代表 秋山昌広