
英語とわたし #99
2015年1月23日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 英語とわたし
【著者】 岩波新書編集部
【出版社】 岩波新書
【価格】 ¥700 + 税
【購入】 こちら
先日ご紹介した「私の外国語修得法」ですが、17人の大学関係者を中心とするアカデミックな方々による「外国語習得」に関する体験談を集めたものだと説明しました。
それに対して本書は、一部大学関係者もいらっしゃいますが、ほとんどがそれ以外の各界の著名人による「実践的英語論」を集めたものです。つまり、英語を駆使して「飯を食ってきた」人々の体験談が満載の一冊になっています。
この二つを読み比べてみると、本当に大きな違いが出るなというのが真っ先に感じられることです。
実際に、前者の紹介の時に、予想外にも「『失敗談』を多く含んだ泥臭い内容」となっていたという感想を書きましたが、それでも後者の方々の「英語との関わり方」を知ってしまうと、それはそれは「奥ゆかしい」ものに感じられるほど、本書は「ヴィヴィッド」な体験談で満ち溢れていました。
特に、外資系金融の世界で活躍された幸田真音さんのその世界での英語サバイバル談は一見の価値があります。
自分の英語力がどうであれ、英語を適切に使わなければ何十億の損を出してしまうかもしれないという緊張感の中での英語を使わなければならなかったという経験はまさに、「切った・張ったの英語」というべきか、英語サバイバルのまさに典型だと言えるのではないでしょうか。
その幸田さんが最後におっしゃったことは、英語を学ぶすべての人に安心感というか、納得感を与えてくれると思います。
「外資系金融業界から作家に転じた私の英語力は格段に落ちてしまった。だが、私はあまり気にしないことに決めた。英語は、ある意味では自転車に乗ることや水泳などに似て、普段は使わないで錆びついてしまっても、その場になればまた何とかなるだろうと思うからだ。いい道具は、錆びてもまた研げば切れるようになる。英語も、いったん身に着けてしまったら、少しくらい切れ味が落ちても、必要になればまたすぐに回復するものだ。だから私は、せっかく苦労して手にした道具を錆びさせないように、せめてたまには旅に出て、様々な出会いを通じて、英語を使いたいものだと思っている。(一部加筆修正)」
文責:代表 秋山昌広