英語はいらない!? #117
2015年6月30日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 英語はいらない!?
【著者】 鈴木孝夫
【出版社】 PHP新書
【価格】 ¥660 + 税
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この本が書かれた2001年はちょうど小渕恵三内閣による「21世紀日本の構想」によって英語の第二公用語化論が取りざたされたときです。
このことに押されて、日本は全国的に英語を使える日本人の養成を真剣に考える風潮が強まって行ったことを鮮明に覚えています。楽天の英語公用語化が騒がれるかなり前のことになります。
本書において著者は、このような政策によって日本人が英語を使えるようになるかどうかという議論の前段階で、このような議論が出ること自体に日本人の根本的な問題が存在していると言います。
それは、(母)国語というものが「当たり前」の存在であるという認識です。日本においては、国語は何の議論も必要なく、「当たり前」に日本語です。しかしながら、世界の多くの国では、このことは決して「当たり前」ではないということを日本人は理解すべきです。
多くの移民の流入によって、国内でのコミュニケーションが一つの国語では成り立たなかったり、他国に侵略され、強制的に国語を変更させられたり、という事情によって、自分たちの意思とは無関係に国語が変更ないし、追加されてしまうことは決して珍しいことではありません。
そして、そのような変更は、得てして強者の論理で行われます。本書は、様々な例を挙げてその恐ろしさについて考えさせられる内容になっています。
文責:代表 秋山昌広