
英語はもっと句動詞で話そう #349
2025年5月5日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 英語はもっと句動詞で話そう
【著者】 日向 清人
【出版社】 語研
【価格】 ¥1,600 +税
【購入】 こちら
私は自著「富士山メソッド」の中で次のような出来事について書きました。
「私はボストン留学時代に貴重な体験をしました。アメリカ人の友人のホームパーティーに招かれた際、玄関で友人にあいさつした後、『(家の中に)入っていい?』と言おうとして、『May I enter?』と尋ねました。アメリカ人は一般的に、そのような状況下では『enter』ではなく、『come in』を使うのですが、その友人は私の英語の意味を察して、『Come in, come in.』と言ってくれました。『enter』が思い浮かばなくても『come in』を使えばいいし、『come in』を知らなければ極端な話、『May I in?』だって通じないことはないのです。でも、もし当時の私が『入る』=『enter』という対応関係を忘れていたら、おそらく『入ってもいいですか?』とは言えなかったでしょう。」
ここで重要なのは、私が「入っていい?」と言いたいときに「May I come in.」を思いつかず、一見するとより難易度の高そうな「May I enter?」と発言するしか方法がなかったということです。
そして、私はその時、アメリカ人の友人が「Come in, come in.」と言ってくれる前にちょっとだけ「?(間)」があったことに気づき、それが私のワードチョイスに対する「違和感」の表明だったのだと私が解釈したことです。
このことをもって私は、日本人の英語は「ごつごつ英語」、ネイティブスピーカーは「しなやか英語(というか状況に応じて使い分ける)」を使うという「事実」を発見し、そのことを「しなやか英語辞典」というサイトを作って問題意識をシェアしてきました。
本書には、次のようなことが書かれています。
「英文に使われる動詞の3割以上が句動詞(phrasal verb)であることからも、英語の語彙の重要部分を占めているだけでなく、話し言葉はもちろんのことemailや『雑誌・新聞の記事のようなインフォーマルな書き言葉でも頻出する『英語を英語らしく話す』ために不可欠な要素なのである。」
これを読んだとき、私はまさに私の問題意識をより明確に「言語化」している人がいた!と嬉しくなるとともに、英語教育の場に身を置いている者でありながら「句動詞」という用語を自著発刊の2012年の時点で知らなかったことを大いに反省させられました。
前置きが長くなりましたが、本書の特徴を簡潔に説明します。
全部で400の句動詞を一つずつ例文を伴いながら丁寧に説明している「参考書」的な性格を有するとともに、「enter」のような一語動詞から句動詞を検索できる索引と、逆に句動詞から一語動詞を検索できる索引の両方が用意されているので、「辞書」としての性格も併せて持っている非常に有用な一冊です。
是非、ご活用いただければと思います。