英語は外人にまっかせなさい #336
2024年12月27日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 英語は外人にまっかせなさい
【著者】 ケント・デリカット
【出版社】 KKベストセラーズ
【価格】 ¥690
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今なら誰にも論破されることなく、「日本人は英語を6年も10年も勉強しているのに話せない」のは「文法・語彙・読解」をやった後、その知識を前提として「英語を使う環境」に身を置くという日本人が英語を話すことができるようになるための「方程式」が存在すると確信している私ですが、
「日本人は英語を6年も10年も勉強しているのに話せない」のは「文法・語彙・読解ばかりやっているから」だから「外人といっぱい喋ればそれだけで話せるようになる」
という(申し訳ないですが)「偽の方程式」に勇気をもらい、いまから25年前にアメリカ留学を決意したことによってランゲッジ・ヴィレッジの「国内留学」を作ることにつながったのは紛れもない事実です。
その意味でいうと、1985年に書かれた本書はたとえその内容が「日本人の英語教育」に最適化されたものではない、単なる一アメリカ人の個人的な感想に過ぎないものではあっても、逆説的にはかなり大きな役割を果たしてくれたと言えるのかもしれません。
まだ、外国人が教える「街の英会話スクール」という業態がほとんど存在していなかった頃に出版された本書は、良くも悪くも日本の英語教育に大きな影響を与えたことは間違いありません。
「良くも」というのは、日本人に英語学習の最終目的は「コミュニケーション」であるということを知らしめたこと、そして「悪くも」というのは、現在の文法軽視、会話重視の学校教育へのシフトに本書のような主張が大きな影響を与えてしまったことです。
実際に、冒頭で述べたように、間接的ではありますが、私自身アメリカ留学に挑戦する勇気をいただけたという(もちろん、私だけではなく多くの日本人がそうでしょう)事実がある一方で、「英語は外人にまっかせなさい」という本書のタイトル(本書の趣旨とは言えませんが)の通り、「NOVA」が1986年に東京進出を機に多店舗展開し始め、1987年に日本の学校にALTを配置する「JETプログラム」が開始されて40年近く「英語を外人(だけ)に任せ」てみたけれど、その結果は著書の見立て通りにはいっていないという事実があります。
本書は、本質的な英語論というよりかは、あくまでも考古学的な興味でもって読んでほしいと思います。