グローバルエリート #67
2014年8月4日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 グローバルエリート
【著者】 ロッシェル・カップ、ジリアン・ヨーク
【出版社】 IBCパブリッシング
【価格】 ¥1,500 + 税
【購入】 こちら
「グローバルエリート」というタイトルですが、実は「グローバル思考」を説くものではなく、「欧米思考」を説く本です。
今までこの書籍紹介ブログで紹介してきた多くの書籍に見られるような、英語は国際共通語であって、イギリス人やアメリカ人だけのものではなく、全世界の共通資産だとする考えからは程遠い内容になっています。
その為、我々日本人からすると少し腹立たしく感じられる点も少なくありません。ですから、本書を読む前提としては「グローバル」という視点ではなく、あくまで「欧米」という視点でこれらの考え方を学ぶという理解が必要だと思います。
ただ、逆に言えば、現在の「グローバル」とされている社会の根底には欧米人の強烈な「我田引水」的思考が存在するということを理解できるのではないかと思います。
特に現在の欧米スタンダードの競争という条件下では、企業が競争に打ち勝つためには「差別化」が必要だとよく言われます。我々日本人からしても、ある程度自然体で受け入れることができる考え方であると思います。そして、これは企業だけでなく、「個人」としても同じことだと思います。
この本の中で最も印象的だったのが、この「差別化」を実現するための第一ステップが「自分を知る」ことだという主張です。
「自分を知る」ことは「(仕事に対する)自分の価値観を知る」ことだと言います。このことを実現するために以下の非常に面白い仮定を提示しています。
「自分が一年間どこかの海の小さい島に一人で住むとして、その一年間は電話や郵便やインターネットがないので外の世界への連絡が不可能だとします。ただし事前に、その一年間に、どのように仕事をすすめればよいかを会社の人に手紙の形で伝えておくことができるとします。そのメッセージは300字に限られています。その中に自分の望んでいる仕事の仕方を述べなければなりません。」
これは、自分の価値観は何なのかを深く考えて、言葉の形に表そうとするものです。
「差別化」を進めるためには、まずは己を知ることが大前提です。これは、孫子の「敵を知り、己れを知れば、百戦あやうからず。」に通じるものです。
確かに我々日本人には、自らのことを冷静に分析し、「言語化する」ということが欠けているのかもしれないということに改めて気づかされました。これ以外にも、少しの腹立たしさを我慢すれば(笑)、私たち日本人に不足しているものを指摘してくれるという点で有益な内容になっています。
文責:代表 秋山昌広