「英語が読める」の9割は誤読 #256
2021年11月1日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 「英語が読める」の9割は誤読
【著者】 越前 敏弥
【出版社】 the japan times 出版
【価格】 ¥1,500 + 税
【購入】 こちら
今までこのブログではどちらかというと英語の実用性を重視したものを中心にご紹介してきましたが、本書は著者が現役バリバリの文芸書翻訳者であるだけあって、非常にレベルの高いアカデミックな内容になっています。
日常生活やビジネスの現場ではほとんどお目にかからないであろう「高尚」で「まどろっこしい」英文に対してどのようにアプローチしたらよいか豊富な具体例をもって丁寧な解説をしてくれています。
もちろん「9割は誤読」するような難しい例文を集めているわけですから、何度読んでも理解に苦しむ文章もあり自分の英語に対する自信を失いそうになると同時に、世の翻訳者の皆様に対して畏敬の念を覚えずにはいられなくなります。
この本を読むと、少なくとも文藝書に関してはAI翻訳が主流になるのはまだまだずっと先のことだろうと思えてきます。
ただ、それでも読み続けていくうちに、翻訳には目の付け所が重要なのであって、絶対に必要な文法ルール自体は実はかなり限定されていることに気づかされます。
これは明らかに著者の丁寧かつ的確な解説によるところが大きいと思いますが、非常に高いレベルの文の分析であっても、私たちが中学で学ぶ英文法の基本をどこまでも信用しながら「人間」としてのしなやかな思考を総動員すれば、なんとかやりきれそうだと実感できると思います。