日本人と英語

関係代名詞の非制限用法にみるコンマの本質

2019年6月23日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「なぜその英語では通じないのか」からテーマをいただいて議論をしていますが、第五回目の今回のテーマは「コンマの本質」についてです。

皆さんは、中学時代に関係代名詞を学んだ時に、関係代名詞の制限用法と非制限用法という区別を習ったことをなんとなく覚えているはずです。

え?覚えてない?それは、その時、しっかりその区別を理解するというプロセスを踏まずに「学んだフリ」をしてやり過ごしてしまったからかもしれません。(笑)

かくいう私も、その区別自体は習った記憶がありますが、その意味合いまで納得して記憶したわけではありませんでした。実際に、「腹落ち」したのはアメリカに行ってからでしたから。

本格的に大学受験までを経験した人であっても、なかなか関係代名詞の制限用法と非制限用法について「腹落ち」して理解している日本人はそう多くないと思います。

その「腹落ち」に必要なのは、英語における「コンマ」の本質の理解です。

詳細の解説としては著者の以下の記述を引用させていただきます。

「①Americans who are ignorant of foreign languages should be re-educated. ②Americans ,who are ignorant of foreign languages, should be re-educated.という二つの文章の違いは、whoという関係代名詞の前とshouldという助動詞の前の『コンマ』だけであるが、残念ながら、多くの日本人の英語学習者にとって混乱を生じさせるもののようだ。原因は、これらの英文がいずれも『外国語を全く知らないアメリカ人は、再教育されるべきである』というように、同じ日本語に訳されてしまうからなのだが、実際にはこの二つの文が言っていることは全く違う。コンマ無しの①は、『アメリカ人の中には外国語を全く知らない人もいるが、そういう人だけ再教育されるべき』なのに対して、コンマありの②は『アメリカ人であれば全員一人残らず再教育されるべき』という意味になっている。コンマがない場合は、それ以降の節が先行詞を限定しているのに対して、コンマがある場合は、節は先行詞を限定しているわけではなく、付帯的な情報を与えているだけだ。このように、コンマははっきりした論理で動いており、決して把握しにくい『感覚の問題』ではない。(一部加筆修正)」

このように、英語におけるコンマの本質は、「付帯情報の提示」にあります。

ですから、コンマの存在があれば、先行詞がAmericanというようにその名詞が別の形容詞か何かで限定されていない状況で提示されているのであれば、当たり前のように何ら限定されていない「一般的なアメリカ人」をしてしているととるべきですし、その「一般的なアメリカ人」の付帯的情報として、「外国語を全く知らない」という情報が提示されているわけなので、結果的に「アメリカ人は全員が外国語を全く知らない」ということになってしまうのです。

逆に言えば、コンマが存在していなければ、関係代名詞による形容詞節が、その先行詞を限定する役割を果たすので、「アメリカ人の中で外国語を全く知らない人」ということになるわけです。

英語は、非常に論理的だと思います。

対して日本語は、非常に感覚的だと思います。

なぜなら、著者が指摘するように、日本語に訳してしまえばいずれも「外国語を全く知らないアメリカ人は、再教育されるべきである」となってしまい、その違いは「文脈」という「感覚」によって判断せざるを得ないわけですから。

その違いは非常に大きく、日本人の英語学習者がなかなか理解できないのも仕方ないのかもしれません。

 

 

◆この記事をチェックした方はこれらの記事もチェックしています◆