日本人と英語

分詞を名詞の前に付けるか後ろにつけるか

2019年8月28日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「英文法の新常識」よりテーマをいただいて、書いていますが、第三回目のテーマは「分詞を置く場所」についてです。

分詞には現在分詞と過去分詞があって、そのどちらも「動詞を形容詞化」する働きがあります。

現在分詞は、自動詞・他動詞どちらも、そのまま能動的に「~している(名詞)」という形でその現在分詞がつく名詞を修飾します。

一方、過去分詞は,自動詞については、完了の意味を込め「~してしまった(名詞)」という形で、そして他動詞については、受動的に「~された(名詞)」という形でその過去分詞がつく名詞を修飾します。

基本的には、それはあくまでも形容詞的な働きをもつ「分詞」という具合に理解されますが、それがあまりに頻繁に使用される場合には、晴れて「形容詞」と分類されてしまう「interesting 」や「broken」のようなものもあります。

こんな性質を持つ「分詞」ですが、本書に私としても「へ~なるほど!」と思える重要な知識が披露されていたので今回はその部分を引用して、それについて見ていくことにします。

「分詞は形容詞のように名詞を修飾することができます。分詞だけなら boiling water のように、<分詞+名詞>の語順にできますから、『煙草を吸っている男』もa smoking man でよさそうです。でも、a smoking manを『煙草を吸っている男』という意味で使うことはできません。『勉強している学生』『走っている少女』も同じで a studying manとか a running girl とは言えないのです。」

お恥ずかしながら、正直に申し上げて、私はこの指摘を受けてもすぐには著者が何のことを言っているのか、そのポイントすら理解をできませんでした。著者の主張の引用を続けます。

「では、『煙草を吸っている男』はどう表現するのかというと、分詞を名詞の後に続けて a man smoking とすればよいのです。じつは、a smoking manは『煙草を吸っている男』ではなく、『いつも煙草を吸っている男』という意味で使われるのです。分詞を名詞の前で使うと、その名詞が表す人やものの特徴付けをすることになります。この人はこういう人、これはこういうもの、というようにその人や物がもっている性質や特徴を<分詞+名詞>で伝えるのです。だから、a smoking manは『いつも煙草を吸っている男』というようにその人の性質(いつも煙草を吸うという)を表現することになります。」

なるほど、一つ目の引用部分に合点がいかなかったのは、a smoking manがダメで、 boiling water はいい、という著者の指摘がよく分からなかったからなのですが、これでよく分かりました。

例えば、料理教室などの場面で、沸騰したお湯を入れる指示をするときは、そのお湯は「いつも沸騰している」必要があるから boiling water というわけなのでしょうね。

続けて、a man smoking の説明部分を引用します。

「分詞を名詞の後に続けると、その名詞が表す人や物の『一時的な状況を説明として加える』ということになります。いつもそうしているかどうかは問題ではなく、その時点でその行為をしていることだけを伝えるだけです。ですから、すでに煙草を吸っている人が話題になっていて、他の人と区別する意味で、that smoking man (煙草を吸っているあの人)のように言うことはできます。この場合は、一時的ではあってもその人の特徴づけをしていることになりますから、名詞の前で分詞を使うことができるのです。また、このことは分詞だけではなく、純粋な形容詞にも同じことが言えます。」

だから、トム・クルーズ主演の映画「mission impossible 」は「impossible mission」とはしないということです。

つまり、あれは「一時的に不可能(と思われる)」なミッションであって、毎回、トム・クルーズ演じるイーサン・ハントはそのミッションを「可能」にしてしまうので「常に不可能」なミッションではないからなんだと理解すればよいかもしれません。

今回は私としても本当に勉強になりました。

 

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