日本人と英語

4技能のうち何を捨てるべきか

2019年10月11日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「超高速PDCA英語術」からテーマをいただいて議論をしていますが、第五回目のテーマは「4技能の優先順位」についてです。

著者は、4技能すなわち「話す」「書く」「聞く」「読む」の能力に確実に優先順位があり、限られた1000時間の中では無駄なことは切り捨てるべきだと以下のように主張しています。

「英語学習のゴールを設定するとき、考えてほしいことがあります。それは『話す』『書く』『聞く』『話す』のうち、『どれに集中し、どれを捨てるべきか』です。もちろん、4技能すべてをマスターできれば理想的でしょう。しかし、仕事をしながら英語を身に付けようとする社会人にはとにかく時間がありません。最短でゴールに到達するには『無駄なことはやらない』という割り切りが必要です。(捨てるものとしては、)まずは『書く』こと。一般のビジネスマンが英語を書くのはメールやチャットが中心だと思いますのでよほぼ複雑な内容でない限りネットや本から英文のメールのテンプレートを拾って使えば事足ります。続いて、『読む』こと。英語の資料やマニュアルを読む機会がある人は多いでしょう。ただ、絶対に英語のまま読まなければいけないわけではありません。これなどはグーグル翻訳にかけて日本語に訳したほうが圧倒的に早く読めます。」

これについては、唯一著者の考えに賛同できない点です。

というか、限られた1000時間の中で何をやるのかという戦略として考えれば、結果的にこのようになるとは思います。しかし、そこに至る考え方の流れとして、著者のこの主張では、4技能をそれぞれ全く別物と考えているように思えてしまうからです。

一方で私は、4技能は全て有機的に結合しているととらえるべきだと考えています。

具体的にはこういうことです。

「話す」ことができる人は、「書く」ことができる。「書く」ことができる人は、「聞く」ことができる。「聞く」ことができる人は、「読む」ことができる。

ベン図で書けば、「話す」という力が一番外側のすべてを包含した概念で、「書く」、「聞く」、「読む」という具合にそれぞれの枠が内側に入っていく感じです。

つまり、著者がいう「捨てる」というのは正しい表現ではなく、「読む」といういう受信技能は、ほとんどの日本人英語学習者はすでに身に付けていると考えられる。

そして、「書く」という発信技能については、「話す」という包括的能力が鍛えられれば、あとはビジネスメールのテンプレートの上に自分の言いたいことを表現していけばよいという意味です。

ただ、「聞く」力と「話す」力にについては、著者は以下のような主張をしていますので、根本のところで私の考えと一致しているように思います。。

「『話す』技能には二つの段階があり、一つは『決まった内容を話す』、次は『相手の言葉を聞いて即時に構文して話す』です。そのうち、多くの人ができずに苦労しているのは二つ目でしょう。この段階で必要となるのは『聞く+話す』が一体化したスキルです。よって、『話す』ためには『聞く』とセットで技能を習得する必要があります。」

つまり、著者も私と同様「話す」と「聞く」の能力を表裏一体の能力と捉えられていると考えられます。

このように、最終的に学習戦術に落とし込む部分では一致しますが、やはり私は上記のような流れを重要視したいと思っていますのでこの点指摘をさせていただきました。

 

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