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中小企業の経営に必要なこと その1

2014年10月19日 CATEGORY - 代表ブログ

USJ

 

 

 

 

 

 

 

皆さん、こんにちは。

先日、NHKのプロフェッショナルという番組で大阪のユニバーサルスタジオジャパンの復活の立役者となった森岡毅氏が取り上げられていました。たまたま見かけた番組でしたが、最後まで引き込まれてしまうほど興味深いものでした。

すかさずアマゾンで氏の書かれた「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」を注文し、読了しました。

TVの番組でも非常に刺激を受けたのですが、本書を読んで「中小企業の経営者」としてさらなる感銘を与えてくれる素晴らしいものでした。

著者は、大学卒業後、P&Gに入社し、一貫してマーケティングを担当します。

そこで彼が学んだことは、「ものが売れるためには、なぜものが売れているのかっていうことを科学的に分析しないとダメで、数字にある裏側を読むことが重要」だということ。すなわち、マーケティングに必要なのは、創造力やセンスではなく、データを積み重ね、分析していく粘り強さだと言います。

P&Gにおいて、そのデータの分析を駆使することで担当したヘアケア商品のシェアを3倍に伸ばすなどの実績を作り、敏腕ブランドマネージャーとしての評価を確立します。

しかし、一方でその成功の裏には、痛い失敗があり、冷静なデータ分析だけでは不十分でその冷静さとは裏腹の「最後まであきらめない情熱」が同時に必要だということも身をもって学びます。

「どこまで行っても100%がない中で、残りの数%を埋めていくのは、やっぱり意思の力、情熱の力。数字に熱を込めるっていうことなんだと思います。」という本人の言葉が非常に印象的です。

その後、同社でのマーケッターとしての実績を買われ、エンターテイメント業というまったく畑違いであるUSJに移籍し、数々の画期的なアイデアを投入することでV字回復を実現します。

本書はその生々しいプロセスの全容を克明に記したものです。

著者の素晴らしいところは、私たち中小企業の経営者の心に突き刺さる本当の言葉で語ってくれるところです。

というのも、世の中の多くの中小企業の社長は、(たぶん)コンサルタントが嫌いです(笑)。弊社の社長もよく「コンサルタントに何ができる!こっちは命がけで会社のことを考えているんだ。」という発言をよくします。このことは、経営は「冷静な数字」だけではダメだという意味だと思っています。

本書の中で語られる著者の言葉は決してコンサルタントのそれではありませんでした。それはコンサルタントとしての「冷静な分析」と中小企業の社長の決して諦めない「熱い意志」が融合したものでした。

この著者のもつ「冷静な数字と熱い意志、その両方があってこそマーケターだ」という信念は、本当に我々中小企業の経営者こそが学ばなければならないものだと強く感じました。

P&Gという大企業で培われた「冷静な数字」の力とUSJという中小企業(私たちからすれば、USJも立派な大企業ですが)での実践によってさらに磨かれた「熱い意志」の両方によって、これからも、USJという中小企業の経営を現在進行形で行っていこうとする著者だからこそ語れる以下の言葉が心にしみました。

「P&Gのような経営資源で勝る企業ならば、一つや二つの失敗でも大丈夫です。ポートフォリオが組めるからです。しかし、中小企業ではそうはいきません。経営資源が少ない企業は一番大事なところに資源を集中させて、そこでは絶対に勝たなければならないのです。だから、中小企業は大企業よりも頭を使っていかないとダメです。より戦略的にならなくてはならないのです。生み出されるアイデアの質もスピードも大企業よりも優れていなければ話にならないのです。」(一部加筆修正)

このように「中小企業だからこそ戦略が大切」という著者の言葉に私たち中小企業経営者はしっかりと耳を傾ける必要があると思います。

本書は、このような学問的な考え方だけではなく、具体的な「戦略」の機能についても、非常に分かりやすく書かれていました。そこで次回は、その点について書いてみたいと思います。

 

 

 

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