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新設外国人在留資格の内容について

2018年10月22日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

以前にこのブログにて「長期就労の在留資格解禁へ」という記事を書きましたが、その時点ではこの「新設」が、あくまでも現在の「技能実習生制度」に手を加えることにとどまるとの内容であり、私は以下のような不満を表明しました。

「この建前と本音の間にギャップのある制度を根本的に見直すことなく、期間の延長という小手先の変更で済まそうとしているに過ぎないと言えるのではないでしょうか。」

ところが、先日政府が新たに提示したその内容はその時点での見通しとは大きく異なる以下のような骨子であることを、2018年10月12日の読売新聞の記事では伝えていました。

「外国人労働者の受入れ拡大に向けて『特定技能1号』と『特定技能2号』の2種類の在留資格を新設する。『高度な専門人材』に限定してきた就労目的の在留資格を単純労働を含む分野に拡大する内容で大きな政策転換となる。臨時国会に関連法案を提出し、年内の成立と来年4月の施行を目指す。外国人の労働者の受入れ拡大には与野党に慎重論もあり、臨時国会の焦点になりそうだ。『特定技能1号』を取得するためには、日常会話ができる程度の日本語能力の試験と、仕事を行う分野の知識や技能に関する試験の両方に合格しなければならない。技能実習生は、3年の経験があれば『一定の能力がある』とみなし、試験を受けずに1号資格を取得できる。2号資格は、さらに難しい日本語と技能の試験に合格し、『熟練した技能』を持つとの認定を受ける必要がある。1号資格は在留期間最長5年で、家族の帯同は認められない。2号資格は定期的な審査を受ければ、事実上の永住や家族の帯同が可能。受入れ企業には、日本語教育などの生活支援を行うことや、日本人と同等以上の報酬水準を確保することを義務付けた。また今後、「建設」「宿泊」「農業」「介護」「造船」の5分野から合計14分野にまで広げることを検討する。ただし、不景気などで人手不足が緩和された際には、受け入れを停止できる措置も盛り込んだ。」

この記事を読むと、前回記事での問題点がかなり改善されているように思えます。

特に、「技能実習生制度」の枠内での「研修」を目的とする建前というところから、日本人と同等以上の報酬水準を確保することを義務付けるなど「就労」を目的とした制度であることを明確にした点にが大きな前進が認められます。

むしろ、「技能実習生」としての経験は、本来受けなければならない「特定技能評価試験」を免除するという「特別扱い」という認識なので、もはやこれは「技能実習生制度」の枠内ではなく、まったく新しい制度の新設だととらえられるように思います。

ちなみに、この試験についての詳細についてはこちらのサイトをご確認ください。

しかも、当初念頭に置かれた該当分野として、「建設」「宿泊」「農業」「介護」「造船」の5分野にとどまらず人材不足に悩む他の分野にも拡大するとの明記もありました。

また、外国人側からすると「不景気などで人手不足が緩和された際の受け入れを停止措置」という条件は、厳しいようにも思えますが、それはそれ以上の受入れを一時ストップするということであって、すでに受け入れられている人材を強制的に送り返すということではないことを考えれば、日本人と外国人の共生の観点からはむしろメリットの方が多いような気がします。

この記事を読む限りにおいては、日本の入国管理制度の歴史の中では最もバランスのとれた方針が定められたのではないかと思いました。