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虫捕る子供だけが生き残る?

2013年12月8日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

本日は書籍の紹介をさせていただきます。

虫捕る子供だけが生き残る」というタイトルの対談本です。

対談者は、著書「バカの壁」で有名な解剖学者の養老たけしさんとさんまのホンマでっかTVで有名な池田清彦さん、それからファーブル昆虫記の訳本で有名なフランス文学者の奥本大三郎さんです。

どうしてこの本を手に取ったかというと、どんな理屈で「生き残る」ことができるのかに興味があったからです。何を隠そう、私自身、自称「地元で最も虫捕る子供」だったのです。

私は、小学校6年生まではこの世の中で最も昆虫が好きでした。

本気で昆虫学者になりたいと思っていました。毎年、決まってお盆時には他の友達がテレビゲームのソフトを買ってもらうときに、「昆虫採集キット」を買ってもらうという具合です。

本物の注射器と赤色の殺虫剤と緑の防腐剤が入っていて、まず生きた昆虫に赤の殺虫剤を注射して殺した後、緑の防腐剤を注射するのです。

はい、非常に残酷な作業です。

でも、自然死した昆虫の死骸はボロボロになってしまって標本にはなりにくいのです。

(というのは、私が子供のころ信じていたことであって、実はあの赤と緑の恐ろしい液体は、ただのホルマリン水溶液だったとか)

しかし、この「昆虫採集キット」最近では全く見なくなってしまいました。

実際には毒ではなかったので、あれを実際に注射して死亡事故が起きたというわけではなく、覚せい剤の注射に使用されるからというのが理由だそうで、大人の事情で全国の昆虫少年が割を食ったということのようです。

私の話はこれくらいにして、三人の昆虫賢人が言う「虫捕る子供だけが生き残る」という理屈についてちょっとだけ明らかにしたいと思います。

虫は人間が作ったものではなく、人間の力が及ばない自然の一部です。一言でいると、そのような人間の力を超えた対象に夢中になることよって、なによりも「集中力」が磨かれるからだといいます。

このことは私も同感です。

虫以外の「おもちゃ」って、基本的にすべて大人から与えられるものだと思います。しかし、「虫採り」は、まずそのおもちゃを子供自身が山に行って手に入れなければなりません。

そして、採集した後では、その飼育に関しても常によりよい方法を求め、調査分析を能動的に行います。

そして、残酷なことですが、よりよい標本作りのために殺生という破壊的な経験もすれば、反対に繁殖をさせるという創造的な経験もします。

私は小学校の中学年から高学年でこの最後の工程であるカブトムシの繁殖を成功させ,一サイクルまわすまでに至っていました。

この時の集中力はすさまじいものだったと自分でも思います。

ところが、この本を読んで感じたことは、私のこの体験などこのお三方と比べたら話にもならないレベルだということです。

本の半分以降は、彼ら三人の完全な虫オタク話で、出てくる昆虫の名前が全く分かりません。それでもずっとお構いなしに盛り上がっているのですから、本当に脱帽です。

私の「虫捕る熱」は中学入学とともに終わってしまいました。

しかし、本当の「虫捕る熱」の感染者というのは大人になってもこの集中力を持ち続ける人たちなんだと言うことに気が付きました。

それが、本物の「科学者」なのだと思います。

私も、自分の子供たちには、大人が与える「ムシキング」で満足するのではなく、自らの力で「採集」する力を持ってほしいと思います。

ただし、そのような環境が残っていればですが、、、