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長期就労の在留資格解禁へ

2018年6月11日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

先日(2018年6月6日)の読売新聞の朝刊に、私たちのような日本国内において国際ビジネスを展開する企業が待ち焦がれた政府の方針転換のニュースがありました。

それは、今まで高度な専門知識を持つ外国人に対してのみ門戸が開かれていた「長期就労」が、単純労働者にも「事実上」開かれる方針が発表されたというものです。

ランゲッジ・ヴィレッジで言えば、英語や中国語を教える講師については、日本で活動できる限定された業務のうちの「人文知識国際業務」という在留資格を得なければ就労させることができなくなっています。

その資格を得るために、入国管理局に対してその外国人が大卒以上の学歴を持ち、日本人の平均以上の報酬を得られる契約となっているかなど、滞在中に問題を起こす必要がないような環境が担保されていることを認めてもらわなければなりません。

そのため、例えばランゲッジ・ヴィレッジでは食堂で給仕したりする方も英語ができるようにしたいというのが念願でしたが、英語を講師として教えるほどではないにしろ、普段使いの英語を話せる大卒ではない外国人を雇おうと思っても今の制度では不可能ということで、断念せざるを得ませんでした。

ですが、この方針転換によって少なくともこのことを実現できる可能性が見えてきたと言えるかもしれません。

ただし、この記事をじっくり読んでみると完全に手放しで歓迎すべきものかどうか疑問が残る点も同時に発見しました。

それは、この件が、「新しい在留資格の創設」と言いながら、実は既存の「技能実習生」という資格の在留期間を5年から10年に延長するというものにとどまるからです。

この制度は、冒頭で説明したように日本では単純労働が認められていないのに、なぜまちなかの工場などで多くの外国人が働けているのかという不思議な現象の一つのカラクリとも言われます。

この制度の建前としては、日本の高度な技術を発展途上国出身の外国人に学ぶ機会を与え、それを学ぶための滞在に必要な最小限の報酬を得られ、最終的に習得した技能を本国へ持ち帰りその発展に資することを目的とした制度です。

現在、日本では約128万人の外国人が働いていますが、その内訳はランゲッジ・ヴィレッジの講師などを含む専門性の高い労働者が23万8千人、永住者や日本人の配偶者が45万9千人、留学生などのアルバイトが29万7千人、そしてこの技能実習生が25万8千人ということで実に全体の20%を占めていることになります。(合計があいませんが、おそらく不法滞在の労働者ということになるのかと思います。)

このように、実態としては日本の人手不足を補うために、建前はそっちのけで単純作業を低賃金で行わせることが主たる目的となってしまっているとの指摘がしばしばなされるものです。

つまり、この建前と本音の間にギャップのある制度を根本的に見直すことなく、期間の延長という小手先の変更で済まそうとしているに過ぎないと言えるのではないでしょうか。

しかも、記事では10年を経過しても、さらに一定の試験に合格すれば在留期限を撤廃し、家族を日本に呼び寄せることも可能となる仕組みにする方針のようです。

こうなってくると、そもそもの「技能実習生制度」の目的である「発展途上国への技術の移転」という話は完全にどこかに吹っ飛んでしまいます。

移民政策はこれからの日本においては避けては通れない大きな課題です。

ならば、政府には、それをこのような小手先でではなく、根本的に解決する覚悟を決めてほしいと思います。

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