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英語民間試験へ高校側異例の要請

2019年7月29日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

先日(2019年7月24日)の日経電子版に以下のような記事がありました。

「2020年度に始まる大学入学共通テストで活用される英語の民間試験について、全国高等学校長協会が近く、受験機会の公平性を巡る疑問や不安が解消されていないとして、文部科学省に早急な対応を申し入れることが24日、分かった。大学入試の新制度導入が目前に迫る中で、高校側が強い懸念を表明するのは極めて異例だ。」

このブログでは、2020年度からの大学入試共通試験、特に英語の民間試験導入に関するニュースがあるたびに取り上げ批評してきました。

今までの流れとしては、以下のようなものです。

とても常識では認められない事案としての「民間試験導入」という制度に対して、英語教育の専門家(これについては私もその一人として自負していますが)が批判するというのが一番最初。

その次は、国立大学、すなわちその試験結果を受け入れる側が、批判的に受け止め、その導入に関して難色を示し、最終的にその採用を限定的にとどめるというもの。

続いて、TOEIC、わなわちその試験を提供する予定であった有力機関の一つが、実現可能性の問題から撤退を決定したというもの。

そして今回は、高等学校、すなわちこれは受験生自身と言い換えてもいいかもしれませんが、その試験を受ける側が、この制度に対して「懸念を表明した」ということになります。

その懸念内容についてもう少し詳しく引用します。

「申し入れ文書では、地域によって民間試験の実施回数や会場数に差があるほか、受験のたびに検定料がかかるため経済状況が苦しい家庭の生徒が不利になるなどの懸念が解消されていないと指摘する。その上で、大学入試では受験機会の公平性の確保が不可欠として、早急な対応を促す。さらに、民間試験の開始が20年4月に迫っているにもかかわらず、具体的な試験会場や日程で確定していない部分が多いことを問題視。受験生に不安を与えていることから、試験の運営団体に実施方法を早期に固めさせ、生徒や高校への周知を徹底するよう求める。」

これで、この制度に関わる四者(制度設計者である文科省、試験結果を利用する大学、試験を提供する機関、試験を受ける受験生)の内の制度設計者である文科省以外の全部において、何らかの問題の指摘がなされたということになります。

ここまで問題を内包したこの制度について、唯一積極的な発言をしていない制度設計者である文科省には、制度開始が迫った今、この件に関する正式な意見表明をすることが必要だと考えます。

 

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