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1兆ドルコーチ

2020年1月16日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

世の中には、何人もの誰もが知るような著名人に対して大きな影響を与えているのに、自分自身は決して前面に出ず、そのスタンスを生涯にわたって貫き通す人がいるということを一冊の本を読んで初めて知りました。

その本とは、グーグルの会長を長く務めたエリック・シュミットをはじめとするその人から大きな影響を受けた三名の共著である「1兆ドルコーチ」です。

彼の名前は、ビル・キャンベル。

コロンビア大学のアメフト選手から、同チームのヘッドコーチを経てビジネスの世界に転向し、プロ経営者として成功ののちアメリカのシリコンバレーの多くの企業の経営者にとって「ザ・コーチ」と慕われた人。

著者のエリック・シュミットのみならずグーグルのラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリン、アップルのスティーブ・ジョブズ、アマゾンのジェフ・ペゾス、フェイスブックのシェリル・サンドバーグ、、、あげればきりがありませんが、これだけの誰もが聞いたことのあるいくつもの企業の経営者が、「自分の成功は彼のおかげだ」と口をそろえるほどの人です。

エリック・シュミットは、グーグルとアップルという二つの企業に対する彼の貢献分だけでも「1兆ドル」は超えているということで、本書のタイトルを「1兆ドルコーチ」としています。

本書を通して私が感じたビル・キャンベルのすごさの本質は、「誠意」「献身」「信頼」「勇気」でした。

先進性と効率性を何よりも重視していそうなシリコンバレーの多くの経営者が、「自分の成功は彼のおかげだ」と評価し、その本質が「誠意」「献身」「信頼」「勇気」というのは私ならずとも違和感を覚えると思います。

ですが、彼は確かに「誠意」「献身」「信頼」「勇気」を尋常ならざるレベルで彼らに注ぎ、彼らをその迷いや不安から救い、最終的に圧倒的な成功へと導きました。

そのコーチングスタイルは次のような形で表現されるような現在ではなかなかお目にかかれないものだったようです。

「親身になるべきか、厳しくすべきかのジレンマはあるが、これは誤った『二分法』だ。本当は『親身になりつつ、厳しく挑戦を促すべき』というのが正解だ。」

そして、こうも指摘しています。

「誠意と献身を保つのは勝っている時は簡単でも、負けている時にはずっと難しい。だが、負けている時ほどその二つが必要となるのが事実だ。」

本書に登場する多くの経営者が、彼にそこまでの信頼を置くのは、まさに彼らが「負けている時(逆境の時)」に彼から「親身になりつつ、厳しく挑戦を促された」ことによってそれを乗り越えたからです。

これを読んだとき、企業の大小に限らず、必要なのは責任回避のための大人数で構成される取締役会ではなく、少人数の経営陣と、まさにビルによって行われた彼らに対する「コーチ」の存在ではないかと心から感じました。

ただ、ビルが発揮したコーチとしての能力は彼個人の天性に由来するところが大きいため、なかなかそれを一般化し、教材として使用することは難しいと思います。

しかし、本書では、彼の一つ一つの行動をそれが該当する学術研究と重ねて紹介していることから、100%理解することは難しいですが、ぼんやりながらも経営者として進むべき道が見えてくるような気がしました。

 

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