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AI時代のベーシックインカム論

2018年9月2日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

「AI時代になると今ある仕事の多くがAIに取られてしまって失業者が増えることになる。」

昨今、このような心配を様々な業界がまじめな顔をしてするようになってきました。

それは、英会話業界も例外ではありません。

ですが、この類の心配はAIの本質を理解せずに、ただやみくもに未知の存在を恐れるだけの姿勢に見えて仕方がありません。

その姿勢は、産業革命後のイギリスで起こった「ラッダイト運動」をおこした人々のそれと何ら変わらないもののように思えます。

現代の私たちが、ラッダイト運動を起こした人々を笑うポイントは、機械ができる仕事を人間が機械を壊してまでやろうとする点です。

それと同じことなのに、現代の人々はAIの発展を歓迎できていないということだと思います。

それを笑い飛ばすことができない不安を合理的に払しょくできる本はないものかと探して見つけたのが「AI時代の新・ベーシックインカム論」です。

本書の目的は、近い将来人間の仕事の多くがAIに取って代わられ、多くの貧困者を生み出すことで社会が不安定とならないようにするための方策としてのベーシックインカムの有用さを訴えることです。

ベーシックインカムとは、政府が国民一人一人に最低限の文化的生活を保証するために現金を給付する仕組みです。

そして、ベーシックインカムと現代の「生活保護」との違いは、生活保護が収入のない人が、収入がないことを証明し、それを自治体が確認するという作業をコストを負担しながら行うのに対し、ベーシックインカムがその人の収入の多寡にかかわらず、すべての国民が等しく受け取ることができるものであるため、行政制度を極度に簡素化できることです。

この仕組みは、すべての国民が収入があってもなくても等しく受け取ることができるので、それを受け取っても、働くことで収入を追加で受け取ることができることから、働く意欲を失わせずに済むことです。

しかも、世帯ではなく国民一人一人に給付されるので、子だくさんの家庭はそれだけでかなりの収入となるので、少子化対策にもなりますし、住む場所にかかわらず一定額が支給されるため、生活費が安い地方に住むことが有利となるため、地方の活性化にも寄与することになるといいます。

ただ、一人一人に例えば7万円を払うとすれば年間に100兆円もの追加負担となるわけでそれを税金で賄うことは現時点では現実的ではありません。

でもだからこそ、「AIの発展」がベーシックインカム導入の前提となるのです。

つまり、人間の仕事をAIが取り上げてやってくれることで富がほぼ自動的に生み出されることになるわけで、それはかつて奴隷を働かせて、市民は遊んで暮らせたようなローマ帝国のような社会を、奴隷の代わりにAIによって作ることを実現できるかもしれないということです。

人間がやっていた仕事をAIが代わりにやってくれるようになれば、休みもなく効率的に生産が行われるようになるわけで年100兆円くらいの新たな富は追加的に生み出されると考えてもいいでしょう。

ただ、もちろんそのような社会においても、その富は、AIの技術の権利をもつ孫正義氏のような一部の資本家に一義的には帰属するのは当然です。

ですが、そこで上がった莫大な富を完全に資本家が独占して、大衆が極度に貧困化したら、今度はAIが作り出す商品サービスが購入されることができないということになります。

AIは、商品サービスを作り出せても「消費欲」を持つことはできません。だから、大衆にベーシックインカムという形で富を分配し、消費可能な大衆を維持する必要があるのです。

そう考えれば、AIがいくら頑張ってもかなわない人間の価値は「おなかがすくこと」だといえるかもしれません。

本書を読むことで、「欲望」にまみれた存在である人間の価値を再認識し、必要以上にAI時代を恐れる必要がなくなると思います。