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コンビニのコーヒーはなぜ高級ホテルより美味いのか

2020年6月12日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

かなり前になりますが、ランゲッジ・ヴィレッジで出すコーヒーの味に満足できなかったので、いろいろ味見をして、満足いくものに変更することにしました。

そのことについてはこのブログでもご案内しました。

ただ、その仕入れ価格の差がかなり大きく、苦渋の選択として今まで無料で提供していたものを「有料化」せざるを得なくなってしまいましたが、それでも以前よりお客様の反応は非常に良くなりました。

無料のおいしくないコーヒーより、有料でもおいしいコーヒーのほうが満足度が高まったことから、コーヒー豆の品質と味には非常に大きな相関関係があるということが分かったのですが、そのことについてもう少し詳しく知りたいと思い一冊の本を読んでみました。

その本とは、JAL機内で提供するコーヒーを監修したことで有名なコーヒーハンターこと川島良彰氏の「コンビニのコーヒーはなぜ高級ホテルより美味いのか 」です。

実は川島氏は、私の中学高校の1期生で大先輩に当たる人です。

一度お話を聞かせていただいたことがあるのですが、彼はどうしてもコーヒーの勉強をしたくて高校卒業と同時に単身でエルサルバドルへ飛び込んで以降、ずっとコーヒー一筋に生きてこられたそのバイタリティに圧倒されてしまった記憶があります。

本書を読むことで、いかに日本のコーヒー業界がいびつな形で成立しており、それが結果的に、売り手も買い手もそしてその仲立ちをする人も、すべての人とって不利益がもたらされているかということが分かりました。

そして、そのことが日本においてはコンビニのコーヒーの方が高級ホテルのコーヒーよりもおいしいことがざらであるという謎の現象によく表れています。

その部分について書かれたものを以下に要約します。

「一言で言うと日本においては、本来フルーツであるコーヒーが農業生産物ではなく、工業生産物として扱われているというのが原因です。農業生産品と工業生産品の最大の違いは、工業生産品は製造された時点でその品質基準が決まってしまうことです。しかし、農業生産品は、もちろんその品種自体のレベルもありますが、それ以外にも当然のことながら鮮度、運版の仕方、焙煎の仕方など様々な要因を総合的に加味して、最終的な品質として認識されるものです。つまり、最高級の品種であっても、劣悪な船の中で温度管理されずに運ばれ、しかも傷んだ豆の除去なども行われない場合には、そのコーヒーは低レベルであるという評価をしなければならないのに、それらは行われていないのが現状です。この問題の深刻さは、ワインの業界と比べると見れば最もよく分かります。」

ではなぜ、日本のコーヒー業界は、フルーツであるはずのコーヒーを工業製品のように扱うのでしょうか。このことについて、以下のような辛辣な指摘がありました。

「ちょうどワイン市場が成熟し始めたころ、コーヒー専門店のオーナーの多くが焙煎に興味を持ち始めました。しかし、自身の店で提供するコーヒーは自分で焙煎しようとするオーナーに対し、コーヒー会社は何とかそれを諦めさせようとしました。情報を公開せず、オーナーたちが自分で焙煎したとしても、焙煎したものと同じ高い価格で生豆を売るようなことまでして阻止しようとしたのです。ワイン業界が、積極的に情報を公開してワイン好きを増やすことで市場を活性化させたのに対して、コーヒー業界は全く反対のことをしてしまったのです。」

その意味で言えば、コンビニコーヒーの進化はその流れを変える非常にいいものだといいます。

昨今のコンビニ業界は、100円そこそこの金額という条件下で最高レベルの「品質」を消費者に届けるように熾烈な競争をしています。

このことにより、従来通りの工業製品を売るような姿勢を崩さない高級ホテルなどでその10倍の金額で提供されるものよりも、よほど良い品質を実現できるようになってきているのです。

このようなコーヒー業界において、川島氏は「情報公開」をすることによって、何とかコーヒー業界をワイン業界のように成熟した市場にしたいと考えてらっしゃいます。

そして、最も効果的な「情報公開」は、本当においしいコーヒーを日本の市場に提供することと、そのコーヒーのおいしさの基準を作って、ランク付けをすることで消費者が自分自身でコーヒーを選ぶことができるようにするということだとして、実際にその活動をなさっています。

コンビニの活動が低価格コーヒーのレベルの底上げのための情報公開となり、川島氏の活動が最高級コーヒーのレベルを示すという情報公開となると言えるでしょう。

私は、これは英会話業界にも言えることではないかと思いました。

コーヒー業界におけるコンビニコーヒーが英会話業界における「スカイプ英会話」、コーヒー業界における川島氏の「ミカフェート」が大変恐縮ではありますが、英会話業界のランゲッジ・ヴィレッジの「国内留学」という図式が成り立つのではないかと思ってしまいました。

一時間129円という非常に安価な価格で、ネイティブではないが日本人よりもずっと英語力の高いフィリピン人講師とじっくり会話のトレーニングができるようになったことで、日本人が今までなかなか手にすることのできなかった「英語環境」を実現したのがスカイプ英会話です。

一方で私たちが提供する「国内留学」は、ネイティブ講師と国内で一定期間英語だけの生活を送ることを可能としました。もちろん、スカイプ英会話とは比較にならない費用は掛かりますが、実際に国内で生の「英語環境」を実現したわけです。

ワイン業界に比べれば、コーヒー業界も英会話業界もどちらも発展途上にあることは間違いありません。

ですが、私も本書を読むことで、「本物」を提供することと、その基準を明示することを地道にやり続けることで、成熟した市場にしていくことができると確信できました。

 

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