日本人と英語

なぜquite a fewは「たくさん」なのか?

2026年2月15日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログでご紹介した「英単語の世界#357」からテーマをいただいて書いてきましたが、第五回目の今回で最終回です。

最終回のテーマは「言語的配慮」についてです。

実際のコミュニケーションの場で起こる意味の変化を観察してみると、話し手は相手に何らかの情報を伝えるだけでなく、聞き手のメンツを重んじ、なるべく相手に失礼にならないように配慮した言語使用を行っているのが分かります。

それらは、ある事を言うのに必ずしもそのことを直接的に表現せず、間接的にしか言わなかったりする言語的配慮と呼ばれるもので、その配慮によって、語の意味と指す事柄とのずれが生じ意味変化が生じる契機となります。

この言語的配慮として、本書では以下の三つの要素を挙げています。

①婉曲表現

英語、日本語に限らずどの文化でも、口に出すのがはばかれる事柄(タブー)が存在します。例えば、人の死、性的なもの、排せつ行為など、また逆に神聖なもの、畏敬すべきものについて公の場でそれに言及することは避けられます。こうしたタブーに触れる場合、話し手は相手を不快にさせるリスクを減らすために、遠回しな表現を使用します。これを「婉曲表現 euphemisum」と言います。

ex) 棺は死を連想させるため英語では本来は単純に「箱」を意味するcoffinという言葉を棺の婉曲表現として使っています。ただし、このcoffinが長い間使われると、もはやそれ自体が中心的意味と化してしまい、新たに婉曲表現を必要とすることになり、最近のアメリカでは本来「小箱」を意味するcasketが使われるようになっているようです。

➁控えめな表現

相手に対して配慮を示したり、口調をやわらげたりするため「控えめな表現 understatement」にすることがあります。

ex) 人に何か贈物をするときに、This is my little gift to you.(日本語ではもっと控えて、「つまらないものですが」ということが多く、それを英語に直訳すると問題になったりします。)また、本来は「少数の」の意味を指すはずの quite a fewが I met quite a few people at the party.(パーティでたくさんの人に会った。)のように「たくさんの」の意味で用いられるのも、この控えめな表現の例です。あえて、quite (かなり)という強調の副詞をつけることでそれが反意であることのサインになっているともとれると思います。

③誇張表現

話し手が自らの強い感情を相手に印象付けるために、大げさな表現である「誇張表現 everstatement」を使うことがあります。

ex) 例えば、大笑いした時に大げさに、I almost laughed my head off.(笑って頭がとれそうになった)などと実際よりも誇張した表現が用いられることがあります。ほかにも、I had to wait an eternity for the meal to arrive.では、「長い時間」を表すのに大げさにeternity(永遠)という語を用いています。また、英語のveryという強調の副詞がインパクトを失い始め、awfully, terribly, horriblyなど、より過激な副詞が使われるようになってきているようですが、これも婉曲表現のcoffinが一般化してしまったため、もはや婉曲ではなくなりつつあり、casketに移行しつつあるのと同じような現象と捉えられます。

英語は直接的で日本語は控えめな言語だと対比的に語られることがありますが、「つまらないものですが」の日本語と「頭が取れそうになった」の英語を比べたらどっこいどっこいのような気もしてきました。(笑)

 

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