日本語と英語の「オノマトペ」を概観する
2022年6月19日 CATEGORY - 日本人と英語
書籍紹介ブログにてご紹介した「英語でオノマトペ」からテーマをいただいて書いていこうと思いますが、本書を読んで日本語と英語の「オノマトペ」に対する依存度の圧倒的違いを体感しましたので、第一回目の今回はその点について書きたいと思います。
その違いとは日本語が英語に比べて圧倒的に「オノマトペ」への依存率が高いという事実です。
本書の構成は、日本語の「オノマトペ」をシチュエーションごとにまとめて英語の表現と対比させるというものです。
ですから、本書に載っている日本語の表現はそのすべてが当然ですが「オノマトペ」ということになります。
しかしながら、それらに対比される英語表現のほとんどが本来の意味での「オノマトペ」ではありません。
実際には、日本語では「擬態語」すべてオノマトペでありますが、英語ではそのすべてが「オノマトペ」ではなく、また「擬音語」も日本語では全てオノマトペでありますが、英語ではそのうちのほんの一部のみがかろうじて「オノマトペ」として存在しているに過ぎないのです。
実際にその数を明らかにしているサイトを探しましたら、日本語の「オノマトペ(擬音語・擬態語)」は4500種類あるのに対し、英語の「オノマトペ(そのほとんどが擬音語)」は150種類程度ですので、英語のオノマトペは日本語のそれのたった3%程度しかないことになります。
では、その差である97%を英語ではどのようにして表現しているのか、本書を概観していくつかのパターンにまとめましたので以下ご確認ください。
① 単純に副詞を使うパターン。
日:私は英語がペラペラです。= 英:I speak English fluently.
*何の面白みもない表現になってしまい、ランゲッジ・ヴィレッジが運営する「しなやか英語辞典」において最もがっかりさせられるパターンです。
② 動詞のバリエーションを増やすことで対処するパターン。
日:すたすた歩く = 英:She strides down the path.
日:ふらふら歩く = 英:I staggered back to my house.
日:ブラブラ歩く = 英:I wandered around Ginza
日:よちよち歩く = 英:The baby toddled toward her mother.
*逆に言えば、英語は「動詞」の種類が日本語とは比べ物にならないくらいに豊富であり、「オノマトペ」に頼らずともこの微妙な表現の違いを表現できていると言えます。
③ 本来の意味での「オノマトペ」が存在するパターン(そのほとんどが擬音語)
日:犬はワンワンと鳴く = 英:A dog goes woof-woof and bow-wow.
日:ブタはブーブーと鳴く = 英:A pig goes oink-oink.
日:ハトはポッポと鳴く = 英:A pigeon goes coo.
日:カラスはカーカーと鳴く = 英:A crow goes caw-caw.
このように、「オノマトペ」を多用する日本語とほとんどそれに頼らない英語ですが、その違いによってイメージの伝達に優劣が生じることはないはずです。
しかし、私の留学時代の友人やランゲッジ・ヴィレッジの外国人は日本語の「オノマトペ」の面白さに完全にはまってくれるのです。
その想像以上の反応を見るたびに私としては日本語に対する誇りを感じてしまいます。
ちなみに、私の独断と偏見に基づく外国人にウケる「オノマトペ」ランキングでは、「ばらばら」「だらだら」「どきどき」の三つが同率一位です。
日本語の濁音の響きが何ともたまらないというのが彼らの一致した意見です。