日本人と英語

クジラ構文は「分配法則」で理解する

2024年9月3日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「サバイバル英文法」からテーマをいただいて書いていますが、第三回目のテーマはあの悪名高き「クジラ構文」です。

A whaleis no more a fish than a horse is.

私は、高校生時代に「英語の構文150」を最終的にはびりびりに破いて、理解・記憶できていないものだけを持ち歩くという学習法をしていましたが、この「クジラ構文」は最後の最後まで残ったもので、しかも最終的に腹落ちしないで受験が終わってしまったような気がします。

それくらい「難しく」、にもかかわらず実社会で「使われない」というとんでもなく費用対効果の低い構文だと思っていたため、「悪名高き」という表現となりました。

ただ、本書において著者は、

「まるで古びた英語のように言われることもありますが、それなりにレベルの高い英文や学術論文の中などで目にすることは珍しくありません。きちんと理解できれば英語を読む際にすごく役に立ちます。そこで、このクジラの構文を完璧に理解でき、かつスムーズに読めるようになる『ある法則』を紹介します。」

という何とも心強い宣言をしてくれているのです。

それでは以下、本書の該当部分を引用します。

「その法則を見ていきますが、あまりにもあっさりしているので拍子抜けしてしまうかもしれません。noから①比較級であるmoreと②than a horse isにそれぞれ矢印を向けるようにするだけです。」

この法則のポイントは「noから①比較級と②than 以下にそれぞれ矢印を向けるようにすること」というわけですが、これはすなわち数学の a(x + y)を展開してax+ayにするあの「分配法則」ということになります。

これを前提に冒頭のクジラ構文を見ていきます。

分配の結果は、no more a fish + no than a horse is となります。

noというのは、not と異なり「強い否定」です。

notは「~ではない」と除外するだけですが、noは「~なんてとんでもない(むしろその逆だ)」というニュアンスが伴います。また、thanは本来「~より」という差を表しますが、noによって強く否定され、「差がない=~と同じくらい」となります。

ですから、前半は「全く魚ではない」となり、後半は「馬と同じくらい」ということになり、結果この文は「クジラは全く魚ではない。その魚ではない度合いは馬と同じくらいだ」という意味になります。

つまり、クジラを魚類と考えるのは馬を魚類と考えることに等しい、そのくらいと魚は生物としてかけ離れている、ということです。

ですがここで私はそのまま著者の説明を受け入れることができませんでした。

というのも、horse isの後に何が省略されているのかの言及が本書にはなかったからです。

おそらく省略されているのは「a fish」でしょう。

しかしそうすると、分配法則は著者の言うようなa(x + y)ではなく、a(x + y + z)→yがthanで、zがa horse isとなります。

それでもう一度当てはめてみると、no more a fish + no than + a horse is no a fish となります。

つまり、「馬が魚では全くない」のと「差が全くない」くらい、「クジラは全く魚ではない」ということ。

これでなければしっくりこないですよね?

それとも、a(x + y)ではあるけれども、horse isのあと省略されているのはnot a fishと考えるべきでしょうか。

そうであるなら、著者は後半のthan a horse isを小カッコとして、a{x +( y + z )}=ax +a( y + z )ということで thanにもisにもにnoをかけるという意図だったのかもしれません。

一瞬、ものすごく分かりやすい説明かと思ったのですが、却って深みにはまってしまったのは私の理解力の問題であって、決して著者の責任ではありません。

ということで、私の最終理解としては一応、a{x +( y + z )}ということにしておきますのでどうかお気づきの点がありましたらご指摘ください!

 

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