学習継続のコツ
2015年6月21日 CATEGORY - 日本人と英語
前回、発音セミナーに参加した時のことについて書きましたが、その際に講師の竹村先生から発音矯正について取り上げた面白いミュージカル映画があるとのことで「My Fair Lady」を紹介されました。
あまりにも有名な名前の作品ですが、実はまだ見たことはありませんでしたので、すぐにアマゾンでDVDを購入してみてみました。
あらすじはこんな感じです。
「言語学が専門のヒギンズ教授はひょんなことから、下町生まれの粗野で下品な言葉遣い(コックニー英語)の花売り娘イライザをレディに仕立て上げるかどうかをめぐってピカリング大佐と賭けをすることになる。イライザは、なかなかh音を出すことができなかったり、【ei】を【ai】といってしまう。特訓をへることでどうにかできるようになった段階でヒギンズ教授はイライザを淑女たちの社交場である競馬場に連れていくことである程度の成功と失敗を同時に経験させながらも特訓を継続し、イライザは上達していく…。ヒギンズ教授は初めは遊び半分でつきあっていたものの、徐々に彼女のことが忘れられなくなっている自分に気づく。しかし、イライザは言葉と同時に自分というものを得ていく…。階級社会の文化が色濃く残る英国社会を舞台に繰り広げられるロマンティック・コメディー」
ちなみに、コックニー英語というのは、ロンドンの下町の労働者階級の「汚い」というか「行儀がわるい」言葉です。日本語で言えばこう言うとすこし語弊があるかもしれませんが、江戸っ子言葉のようなものです。具体的には、最も有名なものとしてはあらすじにもありますが【ei】を【ai】と言ってしまったり、am not, are not, is not, have not, has notの短縮形としてain’tと言ってしまったりといったようなものがあります。
オーストラリア英語の特徴として「GOOD DAY」を「グッダイ」と発音するというのが非常に有名ですが、これは当時、コックニー英語を話す人たちが多く移民としてオーストラリアに移住したことが由来だとも言われています。
この作品を見て印象的だったのは、発音矯正そのものについてではなく、タイトルにある「学習継続のコツ」についてです。
作品の中で、イライザはもともと粗野で下品な育ちの娘ですから「学習」そのものに慣れていません。ですから、目先のことにしか興味が持てないので、コツコツ積み上げて結果を残すということの必要性をなかなか理解できません。その時に、ヒギンズ教授がとった行動は、「小さな成果に対してご褒美にチョコをあげる」ことです。このことによって、初期の学習が継続できました。
しかし、そのようなご褒美の効果はそう長くは続きません。麻薬と一緒ですぐに効果が切れてしまうからです。その次にヒギンズ教授がとった行動は、あらすじにもあるように「どうにかできるようになった段階で試しに淑女たちの社交場である競馬場へ連れていき、ある程度の成功と失敗を同時に経験させること」です。これによって、小さな実績の積み上げの意味と、より大きな目標を具体的に体感することができます。
このことさえ体感することができれば、あとは学習者が自ら自己増殖することができるようになります。これが、上記の「イライザは言葉と同時に自分というものを得ていく…。」という段階です。
これがあるから、弟子は師を超えることができるのです。そしてこれこそ、教育の醍醐味だと思います。(この映画においては、ヒギンズ教授がイライザに恋心抱き始めるので、その感情はここでのそれとは少し違うものとして描かれていますが、、、)
この映画を見ることで、日本における語学教育にこの「学習継続のコツ」すなわちモチベーションの考え方が取り入れられれば、もう少し違った結果を導き出せるのかもしれないと思いました。