日本人と英語

少人数制教育の効果性

2016年2月26日 CATEGORY - 日本人と英語

少人数制教育              

 

 

 

 

 

 

先日、書籍紹介ブログにて「日本人にとって英語とは何か」という書籍を紹介しました。

この本の中で、日本教育の「少人数制」に関する議論がかなりのページ数を割いてなされています。

日本では、ほぼ一貫して文部科学省は、「少人数制教育による効果は実証されていない」ため現在の40人学級を堅持すべきという考えをとってきました。

その主張は、日本をはじめとするアジア諸国は、欧米諸国に比較して大規模学級が基本であるにもかかわらず、少人数制をとる欧米諸国の成果よりも高いという実績をもとにによってなされています。

一方で、欧米では1960年代に「コールマン報告」と呼ばれる史上最大の教育調査の報告が次のようになされています。 この報告は、日本の文科省の主張とは反対に、57万人の生徒、6万人の教員、4000人の校長を被験者とした調査によって、 「子供たちの教育効果を決定する最も重要な要因は、「カリキュラムや教材や教師の力量などよりも、むしろ家庭や教育環境である。

特に、学校環境については、学校規模が重要で、学校規模が小さくなればなるほど教育が行き届き、子供たちの学習意欲が高まることが明らかになった。」 この二つの主張は、まったくかみ合っていません。 なぜなら、この二つの主張の依って立つ論拠は、相互に関連しているものではなく、単なる何の関連もない国や地域の単なる学級規模と得点の比較に過ぎないからです。

そこで著者は、この問題を次のように解釈しています。

「確かに、アジア地域の国々は欧米諸国に比べてはるかに多人数の学級を組み、それでいてはるかに高い得点をあげた。しかし、これは明らかにアジアの学級が多人数であるがために生まれた成果ではない。むしろ、これほどの多人数学級という劣悪な教育条件であるにもかかわらず、アジア地域の言語・文化の固有の特質によってもたらされた結果とみるべきなのである。」

このことをもって、著者は、欧米による「少人数制学級絶対論」も「少人数制学級無効果論」も、その論拠を失うことになるとして、欧米の論者、日本の文科省の両方を批判しています。

私はこの問題の本質が、著者の主張する様に「言語・文化の固有の特質によってもたらされた結果」だと思います。

本書には、そのうちの「言語」の固有の特質についての記述が非常に充実していますので、次回の記事においてその点を書きたいと思います。 そして、次々回において、「文化」の固有の特質については著者はあまり述べられていませんでしたので、私の考えを中心に述べさせていただければと思います。    

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