日本語を国連の公用語にすべき理由
2015年7月1日 CATEGORY - 日本人と英語
前回に引き続き、鈴木孝夫氏の著書「あなたは英語で戦えますか」からの引用ですが、彼は日本人が英語を学ぶにあたって、西洋のことを吸収するためではなく日本のことを世界に発信していくという目的意識をもつことが重要だとするとともに、日本語自体を世界に広げることで日本の存在感を世界に向けて示す必要を説いています。
著者は特に、日本の世界の経済に占める存在感と日本語の存在感のバランスがとれていないと言います。そしてそれは、私たち日本人の経済的実力に関する自己評価があまりに低すぎることに原因があると考えられています。
その一つの事例として日本と国連の関係があげられます。
日本は国連の分担金を一度も滞納したことがない一方で、国連職員の割り当ての方は過去一度も満たしたことがなく、それどころか、近年国連の日本人職員は減る一方で、ことに部課長という責任のある国連の決議や意思決定に強い影響力を持つ幹部クラスが10年前の半分になってしまっているようです。
そのバランスをとるための方法として著者が提案しているのが、「日本語を国連公用語にする」ことです。
なぜなら、日本語が国連公用語になれば、日本人の国連職員が圧倒的に増える素地ができあがるからです。
国連職員になるためには、二つの国連の公用語を使えなければいけないという条件があります。ですから、もし、日本語が国連公用語になれば、その条件のうちの一つを日本語でクリアできるわけで、圧倒的に可能性が高まるのです。
日本のプレゼンスは昨今、アニメやゲームといった分野で非常に高まっており、またそれらを本質的に楽しもうとする世界中の人々が増えるにしたがって、日本語の学習の人気も高まっています。
このようなサブカルチャーの分野におけるプレゼンスももちろん大切ですし、非常に好ましい現象ですが、これらのことは日本が国家として意識しながらコントロールすることは非常に困難です。
しかし、「日本語を国連公用語にする」ことであれば、国連の分担金を一度も滞納したことがないという日本の世界に対する貢献度合いを考えれば、コントロールの範疇にある課題だと思います。
本書を読むことで、日本人が英語を道具として使用し、日本の文化を発信していくのと同時進行で、世界における日本語のプレゼンスを高める努力をしていく必要性に気づかされました。