日本人と英語

発音の効用

2015年6月17日 CATEGORY - 日本人と英語

発音

 

 

 

 

 

ランゲッジ・ヴィレッジは中国語に関しては、徹底して発音にこだわる一方で、英語にの「発音」に対してそれほど重きを置かない姿勢を通してきました。

そのわけは、日本語と中国語、そして日本語と英語がそもそも有している発音の数の乖離です。

日本語の発音は50音(といってもpbz音なども日本語にはありますので音としての数は100音程度)、それに対して中国語は400音、しかも、それぞれの音に四声というそれを間違えると通じないイントネーションが4種類ありますので都合1600音。英語の発音は数え方にもよりますが200音程と言われています。

ですので、英語は日本語のほぼ2倍、中国語は16倍という大きな開きがあります。そのため、日本語を母国語とする日本人が中国語を学ぶときには発音を「完璧」にしなければ全く通じないのに対して、英語を学ぶ場合には、文脈さえ作ることができれば、発音はあまり気にしなくてもほとんど問題なく通じます。

ただし、そうは言っても英語の発音のうち子音に関しては、少しケアするだけでもかなりの効果が出ますので、私の「文法講座」においては、発音記号を学ぶついでに、「子音」についてだけは少しだけケアすることにしています。

とはいうものの、これは文脈さえ作ることができれば一度も発音で困ることはないという私自身の経験から導き出した仮説ですので、一度理論的に発音について学んでみたいと思っていました。そこで先日、英語ヴォイストレーニングで有名な竹村和浩先生による一日で英語の発音を学習できるセミナーに参加することにしました。

非常によくわかる、そしておっしゃる通り一日で英語の発音の理論を理解できる素晴らしい内容のセミナーでした。英語の発音の理屈を一日で整理できるのですから非常に価値が高いと思います。ただし、これをやったからといって英語ができるようになるのかというと、そういう類のものではないとも同時に思いました。

というのも、上述したように中国語と違って、「英語を通じさせる」という意味では、文脈さえ作ることができれば発音は日本語の発音+アルファで十分だという事実は変わらないからです。ですから、優先順位的には圧倒的に「文法と語彙」という基礎を身に着け、そしてそれを「使う」というトレーニングを優先させるべきです。

ですが、たった一日参加するだけでここまで理解できるということなので、その優先順位を無視して受講してみるのも悪くないのではないかという思いもあります。そして、もう一点、この発音講座において大きな発見がありました。それは、「英語脳」の仕組みについてです。

「話すということは舌やのどの筋肉を動かすことですから、脳内の「運動前野」の中のブローカー野というところが司ります。この器官には、意味のある言語を既知の情報として記憶するという役割もあります。ですが、話すことは筋肉の運動だけではなく、認知することとともに行われますので、知覚言語中枢のウェルニッケ野と呼ばれる部分で他人の言語を理解します。しかし、意味のない雑音と意味のある言語の両方を一緒に入力しますので、それを先ほどのブローカー野に問合せをして、既知の情報として有しているかを確認して言語かどうかを判断するのです。そのため、経験したことのない音は言語として認識されないので、母国語が英語ではない人間が英語を学ぶ際には、発音したことがある音だけが聞き取ることができるという理論として英語脳の仕組みが成り立ちます。」

このことから、スピーキングというよりは、リスニングに関して、ある程度以上のレベルを目指すのであれば、発音のトレーニングを行うことで、ブローカー野にできるだけ正確な音を「既知の情報」として入れておくことが重要だということも言えるのだと思います。

ただし、これも優先順位の問題で、多くの日本人はまだそれよりも先にやらなければならないことがたくさんあることは言うまでもありません。