日本人と英語

英語はプレゼンが一番難しいと思っている日本人

2016年9月23日 CATEGORY - 日本人と英語

Closeup of a lecturer speaking to a group of business people

前々回、書籍紹介ブログにて、「なぜあの人は中学英語で世界のトップを説得できるのか」をご紹介しましたが、前回のテーマ「発音」に引き続きこの本の中からテーマをいただき議論してみたいと思います。

今回のテーマは「プレゼンテーション」です。

本書で著者は、以下のように述べています。

「『英語はプレゼンが一番難しい』というのは、ノン・ネイティブが陥りやすい間違いの一つです。ですが、実は英語での日常会話やディスカッションよりも、プレゼンははるかに容易なのです。」

著者は、プレゼンは、スライドに沿って話をすすめていくだけなので、言語を使用したやり取りとしては、非常に限定された英語力でやりきることができるものだと言います。

具体的に、限定された英語力として、プレゼンをはじめる最初と最後の挨拶やスライドとスライドをつなぐ言葉といった程度の心配だけで済むからです。

こんなことは、著者に対して失礼になるかもしれませんが、ちょっと考えてみれば当たり前の話です。

実は、ランゲッジ・ヴィレッジにビジネス英会話を求めていらっしゃる人の多くが、「プレゼンテーション」のレッスンに特に満足されて帰られます。

しかし、この現象は、このレッスンを提供している側からすると「?」という気持ちが大きいのです。ランゲッジ・ヴィレッジでは、主要なレッスンの説明をHP上で公開しているのですが、「プレゼンテーション」のレッスンについては以下のように説明しています。

「プレゼンの作成および効果的プレゼン方法等を学ぶレッスンです。最後に講師、他の受講者の前で発表を行ないます。ただし、このレッスンについては、プレゼンテーションという、いちビジネススキルの向上を目的としたものであって、言語能力の向上を目的としたものではありませんので、他のレッスンとは運営上、考え方が異なります。」

そうです、「プレゼン」という技術は、そもそも「英語力」からは切り離されたものであり、「英語はプレゼンが一番難しい」という発想自体がおかしいものです。普通に考えれば、日本語でプレゼンできる人が、英語ができるようになれば、当たり前のこととして、英語でプレゼンができるというものだからです。

このことは、書籍紹介ブログの本書の紹介のところでも書きました「ビジネス英会話は存在しない」という主張に見られるような「言語学習」と「ビジネススキル」の混同からくる誤解です。

ただ、これだけしつこくこの混同についての指摘を行っているにもかかわらず、未だに誤解が完全に解けることはありません。余りに、頑固な現象であるため、私としても真剣に考えを巡らせて、一つの答えを見出しました。

それは、かつての日本人のビジネスが、本当の意味で「今まで他者とのコミュニケーションというものを重視する必要がなかった」からではないかということです。

日本では、同質の民族、同質の文化を前提に、相手の意図を言語外で察するという技術が極度に高まり、いわゆる「空気を読む」力によって、コミュニケーションに占める言語の重要性が低かったということです。

ところが、急速にグローバル化が進み、日本以外のバックグラウンドで育った人たちとビジネスを行わなければならなくなった今、言語力とは別にビジネスコミュニケーションスキルも、ゼロから学びたいというニーズが生じたと思われます。

そのために、英語を学ぶというニーズと同時に、ビジネススキルを学ぶというニーズを「英語教育サービス」が満たす必要性が生じているということです。

私たちは、このニーズを「仕方なく」満たすべく、その説明の際に「言語能力の向上を目的としたものではありませんので、他のレッスンとは運営上、考え方が異なります。」という文言を入れているというわけです。