日本人と英語

fallとautumnの違い

2024年9月18日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「一度読んだら絶対に忘れない英単語の教科書」からテーマをいただいて書いてきましたが、第四回目の今回で最終回です。

最終回のテーマは、「fallとautumnの違い」についてです。

前回は、日本語の「雷」という光と音の両方を包含した意味を持つ単語に直接対応する英単語が存在しないというエピソードをお伝えしました。

今回は、逆に日本語の一つの単語に直接対応する(と思っている)英単語が複数あるという事実に触れたいと思います。

日本語の「秋」という単語と対となるべき英単語として、「fall」と「autumn」という別の二つの英単語が存在していることを知らない英語学習者はいないと思います。

ただ、私も含め、なぜ二つの「秋」が存在しているのか、そしてその二つには意味の違いがあるのかについての理解をもって二つを使い分けているという人はほとんどいないと思われます。

本書には、この件に関する興味深いエピソードがありましたので以下その該当部分を引用の上ご紹介します。

「学校の授業で『秋』という意味の英単語としてfallとautumnの二つがあり、アメリカ英語がfallでイギリス英語がautumnだと習った人が多いと思いますが本当なのでしょうか?まず、fallはゲルマン語が由来の単語です。fallは『∼が落ちる』という動詞の意味でも使われます。つまり、『葉っぱが落ちる季節』というニュアンスからfallが『秋』を指すようになったのです。一方で、autumnはラテン語が由来の単語です。autumnitas(収穫期)というラテン語から派生してautumnが生まれました。日本でも『実りの秋』というようにautumnは『収穫時期』というニュアンスから『秋』という意味が生まれました。では、いったい、『秋』のことをfallとautumnのどちらで表現すればよいのか。アメリカ英語ではfallを、イギリス英語ではautumnを使うとよく言われますが、実は現実的にはアメリカでもautumnを使いますし、イギリスでもfallを使うという混ざった状態、というのが私の知る限りの現状です。それでは、この二つの単語の使い分け方として何が正しいのでしょうか。それは、春夏秋冬という四季の『秋』を表現するときにfallを使うことをお勧めします。1年のうちの『秋』の部分にフォーカスしているニュアンスです。つまり、相対的な『秋』を指します。一方、autumnは『収穫時期』だけを指しているので、他の季節などと比べていないニュアンスになります。つまり、絶対的な『秋』を指します。」

つまり、こういうことです。

◆ I like fall the best of the year.(私は一年の中で秋が一番好きだ。)

ここでは秋をそれ以外の季節と比較して「一番好きだ」と言っているわけですから、明らかに相対的な表現となり、fallを使っているという説明が成り立ちます。

◆ We eat many fruits in autumn.(私たちは秋にたくさんのフルーツを食べる。)

こちらは、純粋に秋という季節にフォーカスしており、その他の季節は全く関係ないわけですから、絶対的な表現となり、autumnを使っている説明が成り立ちます。

この前提をもってもう少し本書より引用します。

「日本語でも『オータムセール』と表現することがありますが、これは夏や冬と比較しているわけではなく、純粋に『秋のこの時期にぴったりの商品を販売しています』というニュアンスで使われています。この時に『フォールセール』と表現してしまうと、ワンフロアの中に『夏物コーナー』『冬物コーナー』などがあって、その中で『秋物コーナー』もある、というニュアンスになってしまいます。いかがでしょうか?fallとautumnという二つの単語には、ゲルマン語とラテン語という由来の違いだけでなく、収穫の時期を大切にする気持ちがあるかないかという意味の違いもあったということなのです。」

長い間の無知のトンネルをようやく抜けたような非常にすがすがしい気分になることができました。

 

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