日本人と英語

that節内の仮定法現在は主節の時制に関わらず原形

2025年7月20日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログでご紹介した「英文法は語源から学べ #351」からテーマをいただいて書いていますが、第三回目のテーマは仮定法現在の「原形」の取扱いについてです。

「仮定法現在」と言えば、まずは条件の接続詞ifを伴った

If it rains tomorrow, I will not go to school.

が定番ですので、未来から一段時制が下がった「現在(本来は原形だったがifの時だけ)」ということで理解されているものと思います。

ただ本書には、「that SVの直前に提案/命令/要求などの動詞や形容詞が使われている場合の「仮定法現在」の使用について、that節内で動詞の原形を使います。」という説明がありました。

ですので、

She suggested that he work harder.「彼女は彼がもっと一生懸命頑張るよう提案した」

というように、過去の話をしているのに、worked(過去形)ではなく、work(原形)になっています。

主節の動詞suggestが過去なのだから、that節の中も一段下がって「仮定法過去」になるのではないかという思考が働きそうなのにもかかわらずです。

といいながら、「はっ」と気づいてしまいました。

ここで、注意しなければならないのは、「仮定法」とはその時に「そうではないからこそ」そのように想念するという直説法(現実をそのまま表現する)との対比をするために一段時制を下げているという理屈です。

だとすると仮に、She suggested that he worked harder.というように時制をさげてしまったら、単なる時制の一致と化してしまい、

「(その時彼が一生懸命働いていないからこそ)働いてほしい」といった願望をこめて、彼女が「彼がもっと一生懸命頑張るよう提案した」ことが表現できなくなってしまうのです。

著者はこのことを説明するために、次のように「命令形」に原形が使われることを説得材料として使っています。

「Be quite!というときの話者は、『(今静かではないから)今後静かにしてほしい』という気持ちを持っているはずです。命令文で使う動詞の原形は、『今後そうなってほしい』という気持ちを込めて発するものだのです。

このことについては、すでに「命令形とは仮定法である」の記事にて確認済みです。

ただし、このsuggestには一つ注意すべき点があります。

それは、例えば

The analysis suggests that the company is financially stable.

というように、suggestという動詞を「提案する」ではなく「示唆する」という意味で使用する場合です。

これは単純に「show」とか「indicate」のような動詞と同様に「(今~してないから)今後~してほしい」という気持ちは存在していないからです。

 

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