
使役動詞haveの「依頼的」とは
2025年12月5日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログでご紹介した「英作文の技術」からテーマをいただいて書いていますが、第四回目のテーマは「依頼的使役動詞haveの本質」についてです。
ランゲッジ・ヴィレッジの「文法講座」では、SVOCの項目の中で、使役動詞をmake を「強制的」使役動詞、letを「許可的」使役動詞、そしてhaveを「依頼的」使役動詞という具合に分類しています。
そしてこの中で「依頼的」使役動詞のhaveだけが、「他の二つと少しだけ異なる性質」をもっていて、そのことからも上記の「依頼的」という分類についても(自分で分類していて大変恐縮ではあるのですが)他の二つと比べると少々「違和感」というか、完全にしっくり来ていない感じが残りながらの解説をしてきた部分がありました。
本書では、まさにこの「他の二つと少しだけ異なる性質」がその「依頼的」という分類に大いに関係があることを以下のような解説によって私たちの理解を促してくれていました。
「haveが① The doctor had the nurse take my temperature. ② I had a carpenter repair the floor.と言うような形で用いられた場合には、主に『させる』または『してもらう』という意味になります。そしてその違いは、SとOの関係や、状況によってどちらの意味になるかが決まります。最初の文のhadは『させた』と訳されています。医師は看護師に命令できる立場だからです。一方で、二番目の文では『してもらう』と訳されています。お金を払う側とはいえ、『させる』というのは傲慢な響きがあります。修理を依頼したのですから『してもらう』の方が自然です。なお、haveに『させる』と『してもらう』の意味があるということは、自分が英語を読み、聞く場合は、どちらのニュアンスがあるかを文の内容、文脈から判断する必要があるということです。」
この解説からすると、「命令できる立場であるから実際に命令した」というように捉えられてしまうかもしれません(もしそうだとすると「依頼的」という分類はしにくいという意味で完全にしっくり来ていない感じが残っていました。)が、私は著者はそのようには考えていないのではないかと思います。
というのも、「実際に命令した」のならば、それは強制的使役動詞makeを使うはずだからです。
あくまでも、「医者は看護師に命令できる立場ではある」けれども、その立場の中で「依頼した」だけということです。
だから、①と②では確かにSとOの関係性(指揮命令系統があるかないか)は違いますが、それでもどちらもその立場の中でSはOに依頼していることには変わりなく、その動作の主体性はOにあるということです。
このことは、上記の「他の二つと少しだけ異なる性質」を明らかにすれば分かります。
つまり、「haveを使ったSVOCはmake やletを使ったものと異なり受動態にできない」というものでしたが、受動態は「される」という表現なのですから、haveの主語が自ら主体性をもってその行為をする以上、そもそも受動態の表現にそぐわないというわけです。
というわけで、分かりやすく言えば、強制的使役動詞makeは「SがOに命令できる立場で、かつ実際にOの意向に関わらず」させる動詞であり、依頼的使役動詞haveは「SがOに命令できる立場かそうでないかに関わらず」させる・してもらう動詞だということになるはずです。









