このおもしろきTOEICの世界
2018年8月27日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
先日(2018年8月17日)の日経MJの最終面に非常に興味深い記事がありましたのでご紹介します。
それは、「TOEICの世界観」についての記事です。
私は日経MJをかれこれ15年以上購読していますが、この最終面の記事というのは基本的に「変わり種」の商品サービスを紹介するコーナ―と決まっているので、「英語」関連の話題が取り上げられるのはほとんどないのですが、今回は珍しく以下のような「変わり種」の英語関連の記事でした。
「世にも奇妙なTOEICの世界観が注目を集めている。TOEICの問題の中には、酒やタバコ、ブラック企業などは存在しない。戦争や犯罪も無縁の平和な世界だ。一方でコピー機が詰まる、飛行機が遅れると言った軽微なトラブルは頻繁に発生する。『登場人物のスケジュール管理がすごく適当』で親族の結婚式の日にスポーツ観戦を組み込むなどと、あり得ないダブルブッキングも日常茶飯事、、、この奇妙な世界に魅せられた人たちの会すらある。この会の参加資格は年10回の試験を毎回受けていることだ。話すのはもちろんTOEICのことばかり。苦手な問題を解くコツ、最近やっている勉強法など、ビール片手に会話が弾む。毎回受けているだけにその世界観について皆さん詳しい。Aさんは、『TOEICの世界では残業を減らすために人を雇うことが多い。憧れるよね。』とため息をつく。世知辛い現実世界とつい比べてしまう。そもそも、問題の中の世界への違和感はどうして生まれるのか。この謎を解き明かすため、試験を運営する国際ビジネスコミュニケーション協会に聞くと『世界中どこでテストをしても、問題を目にした人が違和感や世界観を持たないよう、厳しくチェックしている』とのこと。宗教でタバコや酒を禁じる国もあれば、野球がマイナースポーツの国もある。仕事の失敗で叱責された経験がある人の心情をおもんばかり、重大なミスは起きない。一方で何も起きないと会話のきっかけもないため、問題作成の都合上、コピー機の故障といった軽微なトラブルは頻発する、というのが謎の真相だ。」
このような柔らかい話題に、正論をぶつけるのは野暮かもしれませんが、性格上やめられないので失礼してちょっと厳しいことを言うと、やはり、この「おもんばかり」こそがTOEICが一方的な試験であって、コミュニケーションの本質である「双方向性」の欠如を物語っているような気がします。
というのも、このコミュニケーションの本質である英語力の「双方向性」の測定に特化したJIPFLが運営するSEACTテストでは、もちろん出題自体には、取り立てて問題が生じる可能性のある問いの投げかけはしませんが、逆にその問いに対応する受験生の回答は当然自由ですので、ここでは言えないようなギリギリの内容となることが頻繁に起こるからです。(当然ですが、それを理由に減点などはしません。)
それにしてもこんな感じでTOEICの話題が取り上げられること自体、この国でのこの試験がある種特別なものだという受け止められ方をされている証拠だと思います。
いい意味でも悪い意味でもこれだけインパクトがあるわけですから、その試験をできる限り本質に近づけ、より良いものにする努力はしてほしいと思います。