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イノベーションのジレンマを読んで

2016年4月17日 CATEGORY - 代表ブログ

Road to vision

皆さん、こんにちは。

先日、合理的なのに愚かな戦略」という書籍についての記事を書きましたが、その本のモチーフに「イノベーションのジレンマ」というハーバード大学のクレイトン・クリステンセン教授の書かれた本があげられていました。

著者は「もう15年も前に書かれた本にもかかわらず、優良な企業の優秀な経営者がとる戦略は合理的であるにもかかわらず、なぜ決定的な過ちを犯してしまうのかという課題に関しての視点は全く色あせていない」との最大限の評価を本書に対してされていたので、遅ればせながら読んでみることにしました。

読んでみて真っ先に思ったことは、アップルのスティーブ・ジョブズのような経営者は突然変異によってしか生まれないのではないかということです。

先日の「合理的なのに愚かな戦略」の紹介の記事でも出しましたが、彼の言葉として次のようなものが有名です。

「顧客は製品を見せるまでは、自分たちが何を欲しているか分からない。」

顧客第一主義が、もっとも幅を利かせている時代において、このような考え方は、危ない「危険思想」です。顧客を無視しろというわけですから、上から目線の最たるものです。

ですから、いわゆる優秀で常識的な経営者は確実に、顧客の声に耳を傾けることになります。

仮に、自分自身の手で、将来「破壊的イノベーション」と言われるような技術を開発したとします。まだ粗削りですが、様々な発展性を有するこの技術を顧客に見せたとしても、顧客にその発展性を理解することができなければ、その時点では顧客は欲しがることはありません。

その顧客の「判断」に対して、「多くの場合、顧客は形にして見せてもらうまで自分は何が欲しいのか わからないものだ」と結論付け、その粗削りの新技術を大々的に推し進めることを、「優秀で常識的」な経営者であればあるほど、選択するわけもありません。 このことが、「破壊的」な結果を導き出してしまうのです。

イノベーションのジレンマの「ジレンマ」はまさにこの「優秀で常識的」な経営者の行動がたどらざるを得ない道のことを指しているというわけです。 ですから、スティーブ・ジョブズのような経営者は、一見「愚か」に見えて、その結果出たときに、「突然変異」だったと評価されることになるのです。

そのことを、「合理的なのに愚かな戦略」では、「論理」ではなく「感情」、もしくは「勇気」の問題と表現しているのだと思います。

本書「イノベーションのジレンマ」の価値が15年たった今でも色あせることなく、名著として扱われている理由は、このような「ジレンマ」の存在をこの世に知らしめたという功績とともに、その「ジレンマ」からの脱出方法を紹介している点にもあると思われます。

それは、既存の企業とは独立して「破壊的イノベーション」となるかもしれない技術を志向する別の組織を作って、その組織と競争するという度量を持つということです。

そして、その結果、一方の事業をつぶすことになるかもしれないことを覚悟することです。 イノベーションの「ジレンマ」と言われるように、ひとつの組織の中でその両立を図ることは歴史的に不可能であることが明らかになっており、別組織を作り別の意思を持たせることが唯一の脱出方法だということのようです。

ただ、これについても、別組織を作るという「判断」は、既存の企業の経営者がしなければならないわけですから、それはそれで「優秀で常識的」な経営者にとっては簡単なことでないことは明らかです。