日本人はどこから来たのか
2012年7月26日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
先日東京で、日本人のルーツという演題で、ミトコンドリアDNA解析の第一人者、国立科学博物館の篠田謙一先生のお話を聞くことができました。
私は、日本語という言葉が、非常にユニークなものであることから、どちらかといえばDNAというより、言語学的な方面から日本人はどこから来たのか?ということに興味を持っていました。
そのような話ももしかしたら聞くことができるかなと思って参加しました。
その中で、篠田先生がおっしゃるには、言語学的側面からのルーツを探る手法はたどれて1万年という期間であって、日本人のルーツは縄文時代、すなわち1万5千年以上前の人たちがどのように日本にやってきたのかということになるので、あまりルーツの手がかりにはならないとのことでした。
日本人の平均的なDNA構造としては、約20種類という多くの特徴的な要素を含んでいる非常に複雑なものとなっているらしいのです。
そして、日本列島の中で、東海地方を中心として本州の幅広いところに弥生人、すなわち3千年前あたりに朝鮮半島からの渡来人の特徴を持った人が多く、両端である北海道と九州方面に1万5千年以上前から日本にいた縄文人の特徴を持った人が多くいるとのことです。
これは、おそらく3千年前から「農耕技術」というイノベーティブな技術を持って支配階級となっていった弥生人によって、縄文人が同化、及び、生活環境の厳しい周辺に押し出されていったというような考え方が成り立つという考えが大方を占めているようです。
ところで、この縄文人という特徴にも東南アジア方面や中国大陸方面、また北海道方面では、オホーツクなどの北方系のDNA特徴が見られるようで、一般的には日本人は南、西、北と様々なところから集まってきた多様性のある民族だと言えるようです。
長期的に考えれば、日本は決して単一民族と言えないDNA構造をしているらしいのです。
ただ、その中で、どうしてもルーツを探れない、日本人にしかみられないDNA特徴があるらしく、この点について、篠田先生もこれからの研究テーマだとおっしゃっておられました。
おそらく、ある民族が大陸からやってきて、日本において広がりを見せたけれども、大陸では何らかの原因で消滅してしまった系統があるのだろうと推測するしかないようです。
でも、私はこれこそが、日本人を日本人たらしめている「要素」であり、日本人にしか見られない勤勉性、協調性、融和性などを作り出しているものだと信じたいと思います。
それによって、これからも日本人の「誇り」としていけるのではないでしょうか。
ですから、この点についての研究はいつまでも「謎」にしていただけるといいななどと思っています。