本の出版の未来
2016年1月3日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。 前回、幻冬舎の見城徹社長の「たった一人の熱狂」についてご紹介しましたが、その中で、彼自身の事業領域である出版業界の未来についての記述がありました。
「全国の書店は99年に2万2200店あったのが、現在は1万3700店しかない。出版物全体の売り上げも20年前には2兆6000億円あったものが、今や1兆7000億円と実に35%も縮小している。僕は、出版物の未来には、明るい展望を全く抱いていない。2020年までに、幻冬舎の出版部門の利益はゼロになるとさえ予測している。だから幻冬舎メディアコンサルティングや幻冬舎財産コンサルティングなど多くの子会社を設立し、出版に軸足を置いた別の関連事業を積極的に展開してきた。出版の未来に悲観している僕だが、本に全く力がなくなったと絶望しているわけではない。僕は今でも、出版はすごい力を持ったメディアだと確信している。テレビの影響力はメディアの中で一番強いわけだが、受動的に流し見ている人も多いわけだから、情報の訴求力がものによっては強いわけではない。その点、本の読者は違う。能動的に集中しなければ活字なんて長時間は読めない。活字を通して、フェイス・トゥ・フェイスで濃密に情報伝達できるのがほんの強みだ。」
このように、自分自身が身を置く業界に対して、非常に冷徹な目でその将来性を見る一方で、ただ、絶望するだけでなく、その中で自分自身ができることに熱狂しようとする、「冷静と情熱」のバランスをとられているなと感じました。
上記の見城社長の見立てからすると、インターネットは最強のメディアではないかと思えてきます。なぜなら、テレビのように簡単にアクセスできる広汎性と、活字を通じてフェイス・トゥ・フェイスで濃密に情報伝達できる能動性を併せ持っているからです。 そして、これが見城社長の面白い視点ですが、現在の日本は、「歴史上最も多くの人が文字を読む時代」だというのです。
つまり、紙の文字を読む人が減っただけであって、紙以外のメディアで文字を読む人は激増しているということです。 ですから、出版業界という業界を、「紙に文字を印刷して配布する」業界と自己規定すれば、絶望的な未来しか見いだせないが、「情報を様々な媒体で配布する」業界と自己規定すれば、いくらでも利益を生み出す可能性を見いだせるのです。 実際に、幻冬舎では「出版社の編集ノウハウと営業、ネットをうまく組み合わせることで出版不況の中でも利益を生み出すことは可能」という考えの下、次から次へと新しい展開をしてらっしゃるようです。