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言語世界地図

2026年2月24日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

本書「言語世界地図」は、言語学者である著者が世界に6,000種以上存在するとされる「言語」のうちの48種の言語をピックアップして、その使用状況を客観的に眺めることで言語というものがいかに多様であり、そして民族独自の文化を担うものであるかを理解できるようにしたものです。

2008年発刊の少々古い本ですが、言語を飯の種にしている身としては知っておくべきことがたくさんあるはずだと思い読んでみましたので、以下に感想を記します。

これら48種の言語の概要及びその簡単な歴史を見て分かることは、この地球上で自らの国民に対して自らの言語を捨てるように仕向ける国家は皆無であるという事実です。

しかし、また同時に国家の意志としてはそうでなくとも、一旦何らかの原因(軍事的もしくは経済的侵略)によって、有力言語が国内に侵入してしまうと、いくら当該国家が強い意志をもって自国語の保存を図っても、もはやその拡大を止めることが非常に難しくなるという事実です。

このことが良くわかる例として、本書よりアイルランド語の現実についての記述を要約引用します。

「アイルランドの国語にして憲法上の第一公用語はアイルランド語である。しかし、四百万人強の国民の大多数は、日常的には第二公用語である英語を使用する。アイルランド語を話すことができるのは七十万人程度、そして、アイルランド語のみを日常的に使用する人口は約六万人に過ぎない。アイルランド政府はアイルランド語を保護するための政策を積極的に推進している。初等・中等教育を通じて学習を必須としているし、国営放送ではアイルランド語による番組を放映し、アイルランド語新聞も二紙ある。アイルランド語使用地区を指定し、この地区でアイルランド語を日常的に使用する住民には、自宅の建築に対する補助金や子弟への奨学金など、経済的な援助を行ってきた。16世紀にはじまったイングランドによる植民地支配の結果、減少し続けていたアイルランド語話者の人口は、この政策により一時的に回復を見せた(1961年時点で人口の27%)しかし、英語話者の方が経済的に優位にあることは紛れもない事実である。要するにこの国の威信があり、使用することによる利益が大きいのは世界共通語である英語なのである。弾圧を数百年にわたって加え続けた隣国イギリスの言語であったとしても、英語なしにアイルランドという国は成り立たない。この結果、政府の保護政策にも関わらず、アイルランド語の使用人口は再び減少に転じている。」

これをもって、国家として他国の言語を強制された経験のない日本における母国語(日本語)と外国語(英語)の関係性の現状を観察してみるに、なにか得体のしれない不安感と同時に申し訳なさを感じざるを得ず、母国語である日本語と外国語である英語という二つの言語にどう向き合うべきかを真剣に考えないといけないと強く感じました。

 

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