日本人と英語

文法ルールがいい加減な理由

2017年8月11日 CATEGORY - 日本人と英語

三回にわたって「英語語彙大講座」からネタをいただいて英語の語彙の性質について考えてきましたが、今回で最終回とします。

本書は、文法がどうしてきっちり100%ルールに従わず、「例外」が存在してしまうのかという学習者にとって重大な疑問について総括するに非常に分かりやすいヒントを与えてくれています。

私は、ランゲッジ・ヴィレッジで開講している「中三文法を2泊3日で血肉にする講座」を運営していますが、学校教育において3年分(ぶっ続けでやるわけではないので、3年分を2泊3日でというのは少々誇張ですが)を2泊3日でやってしまうことができることには理由があります。

それは、英語が非常にシンプルで文法の例外が少ないため、骨格を理解すればあとはほぼ単語を当てはめるだけでよいということです。

日本語のように、主語や動詞の場所がどこに行ってもよかったり、フランス語のように動詞の活用を頻繁にともなうような言語では、決してこのような短期間で文法を血肉にすることはできません。

幸いにして英語の文法が他の言語と比較して圧倒的に単純化されていることによって、この講座は存在できているというわけです。

この英語における「文法の単純化」については、先日の記事にて説明しましたので そちら をご参照ください。

ですが、そんな単純な英文法にも「例外」は存在します。

たとえば、副詞のつくりとして、基本的には形容詞に「ly」をつけるというルールがありますが、中には形容詞と全く同じ形をそのまま副詞として使用するものもあります。

これについては以下のような説明がなされていました。

英語はもともとアングロサクソンの言語(北ドイツ語方言)をベースにしています。

アングロサクソン言語であるドイツ語やオランダ語では、今でも形容詞はそのまま副詞として利用できる、すなわち形が全く同じだという性質があります。

ですから、「straight」「 hard 」「long 」など、すなわちアングロサクソン言語由来の古い語彙については、英語においても形容詞はそのまま副詞として利用します。

しかし、その後ノルマンコンクェストを経験し、フランス語の語彙を吸収すると、フランス語の副詞は形容詞に「ment」をつけるというルールがあります。

このルールが継承されて、英語においては「ly」をつけるようになったというわけです。

その結果、形容詞の副詞化ルールである「ly」が徹底されないという例外を生むこととなりました。

ただ、アメリカ英語に限るようですが、本来は「ly」をつけるべきところを省略してしまう単純形副詞といわれるものがあります。

よく知られているのは、エルビスプレスリーの「Love me tender.」です。

これについては、日本語で「すごく大きい」というべきところを「すごい大きい」という若者が増えている、いや油断すると私自身もいってしまいがちですが、同じ現象のように思います。

まさに「言語は生き物」というように、歴史の中で他者との接触によって影響を受け変化することで、現在の形があるわけです。

そして、その現在の形から、最大公約数的な「ルール」を導き出すことで「文法」が絞り出されることを考えれば、「例外」があることは当たり前なのだということが良く分かります。

英語においては、「単純化」と「例外」という相反することがそれぞれ「歴史の中での他者との接触」にもたらされたということは非常に面白いと思いました。