なぜ英語に「未来形」は存在しないのか
2024年1月26日 CATEGORY - 日本人と英語
書籍紹介ブログにてご紹介した「英語脳スイッチ!#307」からテーマをいただいて書いてきましたが、第八回目の今回で最終回です。
最終回のテーマは、日本語と英語における「未来の表現」についてです。
以前にこのブログで、「willは現在形である」という記事を書いて次のような事実を明らかにしました。
「英語を含むヨーロッパ言語において『時制』とは、動詞の語尾の活用によってあらわされることになっており、そう考えると英語には、三人称単数現在の『s』の変化を含む『現在形』と『ed』もしくは『不規則動詞』の変化のある『過去形』の二つしか『時制』は存在しないことになります。実際に、英語で『パーティーは7時に始まります。』を3時の時点でいう場合にも、『The party starts at seven.』と言って何ら差し支えありません。ただ一方で、『The party will start at seven.』という言い方もあります。そして、普通私たちはこれを『未来形』だと思っていますが、これも法助動詞willの『現在形』であることは厳然たる事実なので、やはり『時制』としては『現在形』と言わねばなりません。」
ただ、この事実は「未来の表現は、法助動詞willの現在形を使って表現する」という形式上のものに過ぎず、問題の根本的な部分には立ち入っておらず、どうしても説得力に欠けると言わざるを得ません。
本書の中にはその点において少しだけですが根本に迫っていると思われる箇所がありましたので以下、該当部分を引用します。
「現在は『今ふだん、いつも起きていること』、過去は『過去あの時に、実際に起きたこと』、つまりどちらも『現実の出来事』ですが、未来はまだ起きていない出来事であり、心の中で推測するしかないことです。このように『現在』『過去』VS『未来』は、すなわち『現実』VS『推測(心の中で起こっていること)』という対立グループなのです。そして、willに限らず、can、may、must、shouldなどの法助動詞と呼ばれるものは全て、未来もしくは推測、すなわち『現実ではなく心の中で思っているだけのこと』を表現しているのです。(例えば、You must do it.のYouはまだdoしていないという意味で)」
つまり、これって「現在形」と「過去形」だけが「直説法」で、法助動詞を使って未来もしくは推測を表すことは、「仮定法」や「命令法」と同様に、「直説法」とは「法(mood)」違いの代物だと言っていると捉えることができるような気がします。
そう捉えれば、「”法(mood)”助動詞」という区分名も納得がいきます。
以下、まとめます。
なぜ「英語には未来形がない」のか。
それは「○○形」という区分は現実のこと、すなわち「直説法」の枠内での区分であって、未来に関することは「直説法」とは「法(mood)」違いの「心の中で起こっていること」であるからと私は捉えました。
ただ、著者もそこまで断定的に述べているわけではないので、あくまでも「気がします」という表現にとどめさせていただきます。