日本人と英語

疑問文・否定文に助動詞doが必要な理由

2021年2月22日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「英語の歴史から考える英文法の『なぜ』」からテーマをいただいて書いていますが、第三回目の今回は前回に引き続き、第一回目の記事の最後に残された二つの疑問のうちの後者のdoという助動詞についてです。

大前提として、助動詞は大まかに「法助動詞」と「第一助動詞」の二つに分けられます。

法助動詞とは、第一回目で取り扱ったcan may will shall mustなどがそれにあたり、法とは英語のmood、すなわち「気分・感情(ムード)」、具体的には、義務性、可能性(将来性)にかかわる気分を表現することで動詞を助ける言葉です。

それに対して第一助動詞とは、今回取り上げる「do」、基本的には一般動詞の疑問文や否定文を作るときにその動詞を助ける助動詞です。(do以外にもbe とhaveも第一助動詞として分類されることがありますが、私は講座の一貫性を重視する意味でこれらを助動詞としては扱わないこととしています。)

早速ですが、第一回目の最後で提示した二つ目の疑問である「助動詞のdoはそれらと全く違う動きをしている理由とは?」に答えるにあたって、第一助動詞doについての説明部分を引用します。

「現代英語で助動詞に分類されるdoは古英語では『~する』という動詞であるとともに、『~させる』という意味を表す使役動詞でもありました。使役動詞としては現代英語に直訳するとHe did them come.(彼は彼らにやって来させた)といった使い方をしていました。そこから意味上の主語を外したHe did come.という言い方が生まれ、そこから、He did come.で『彼はやって来た。という意味を表すことになりました。つまり、『do+不定詞』で『~することを行う』という意味の言い方が生まれたわけです。疑問文・否定文に現れるdoもこのような言い方から生まれました。このdoが疑問文・否定文でも使われるようになったのは、屈折が消滅して厳密な語順を規定した文型の意識が強くなったころです。なぜなら、Do you know me?という言い方は文頭のdoが疑問文の標識となり、you know meという語順を維持することができるからです。また、否定文もyou do not knowという言い方では否定詞notがdoの直後に現れることでwill notやcan notなどと同じ語順になり、すでにある形とよくなじみます。一方で肯定文で使われたdoは広がりませんでした。それは疑問文・否定文と違って用いる利用が感じられなかったからと思われます。そして使われる場合には協調という特別な意味を帯びることになりました。」

前回と今回で、法助動詞も第一助動詞もともに、もともとは動詞であったという点で共通していることと、その動詞が他動詞であり、その目的語として他の動詞を名詞的に受けることで文を構成するということから「助動詞」としての立場を獲得し、それぞれ別の役割を果たすようになっていったということが良く分かりました。

 

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