日本人と英語

受身と完了と過去分詞

2018年12月19日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「英語のルーツ」からテーマをいただいて書いてきましたが、第四回目の今回のテーマは、「過去分詞の本来の性質」についてです。

私は、自らが主宰する「中学三年分の英文法を血肉にする講座」の中で「過去分詞」の説明については、似たような「現在分詞」の説明と比べ、どうしても不完全燃焼の感が否めず今日に至っていました。

それは、「過去分詞は他動詞であれば、完了の機能と受動態(受身)の機能の両方があるが、自動詞であれば、完了の機能しかない。そして、表現方法としては完了は、have +動詞の過去分詞となり、受身はbe + 動詞の過去分詞となる。」というようなものです。

しかし、これですと、過去分詞は完了と受身という全く異なる意味合いを同時に包含するのかというような理解をせざるを得ず、不完全燃焼の源でした。

しかし、本書にはこの不完全燃焼感を見事に吹き飛ばしてくれる説明がありましたので以下に説明させていただきます。

もともと、過去分詞を使用した表現は次の三つに限定されていました。

① be  +(自動詞の過去分詞=完了)

ex) I am finished. They are all gone.  

②   be  +  (他動詞の過去分詞=受身)

ex) The dinner is eaten by him.

③ have  +  目的語+(他動詞の過去分詞=受身)

ex) I have some money saved. → savedされたmoneyをいくらか「持っている」という文章で、過去にsavedされた(完了)このお金を「現在持っている」(現在)という意味。したがって、この形ではhaveは普通の他動詞なので否定や疑問のときは助動詞doが使われていた。ちなみに、このhaveがあくまでも現在のことを表している(現在形)ため、当たり前のこととしてyesterdayやlast yearというような過去の一点を表すような副詞は利用できない。

そして現代英語に至るまでの間に、③について以下のような形の変化が起こりました。

ex)  I have saved some money . これが今の「現在完了」の形です。

この変化は、haveを普通の他動詞からいわゆる「現在完了のhave」と規定し直し、その働きを「助動詞っぽい」(後に来る動詞が原形ではなく過去分詞なので助動詞とは言えない)ものとした。そして、これが当たり前になった結果、①の形も一部残しながらも、基本的には自動詞の完了についてもhave + 過去分詞で表現するのが一般化した。

ex) I have finished.

以上のような歴史的な背景を踏まえ、簡単に(本来の)過去分詞の本質を要約すると、次のようになります。

「自動詞にとっての過去分詞は『完了』、他動詞にとっての過去分詞は『受身』を表現するもの」

今までどうしても晴れなかった完了と受身と過去分詞の関係がとてもよく分かる内容でこの件に関するモヤモヤ感が完全にすっきりしました。

またもや、言語における文法研究は「考古学」的側面があることに納得させられました。