日本人と英語

幼児英語教育は選択と覚悟の問題

2016年11月16日 CATEGORY - 日本人と英語

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先日、代表ブログの記事で「一流の育て方」という本を取り上げて、教育の成功に関する解について素晴らしい視点を提示してくれている良著であるとご紹介しましたが、その中で一点だけ、注意をして読む必要のある部分がありましたので、今回はそのことについて書きます。

それは、「外国語は幼児期から慣れさせるべき」という視点です。

著者はこの件について次のように述べています。

「私自身は、母国語もしっかり学ぶという条件付きですが、外国語教育は幼少期から徹底的に始めたほうがいいと思います。というのも、私の子供は最終的に全員欧米に留学したり勤務することになりましたが、海を渡った時期が早い順に、英語の発音や使い方がうまいもので、この差には明白なものがあります。もちろん、外国語教育に熱を入れるあまり、母国語がおろそかになり、思考力の発達が遅れるようでは本末転倒です。ですが、幼少期から母国語を学ぶことと、外国語を学ぶことは、決して二項対立の概念ではなく、並行して学ぶことが可能です。」

幼児英語教育についての私の視点は、このブログにおいて何度も主張してきているのでここで詳しく述べませんが、「母国語を優先すべき」という明確なものです。そして、ほぼすべての幼児にとって、その時期というものは母国語によって思考の基礎を作り上げるために必要な時間はどれだけあっても十分すぎることはないというように考えています。

ですから、この母国語を優先させるという考え方においては、私の考えと著者の考えは一致しているように見えます。

しかし、著者の主張は、母国語による思考力の確立と外国語の徹底的な学習とを一人の幼児の中で完結できるという前提のものでなされているのに対し、私の主張は、「母国語もしっかり学ぶ」という条件を満たしながら英語に習熟するための学習を実行することは不可能だというものであるため、結果的には相いれません。

また、環境面からみても、「外国語教育は幼少期から徹底的に始めたほうがいい」という部分についても、特に論理的思考が完成していない幼児期に英語教育を施して意味のある結果を出そうとするのであれば、それこそ生活のほぼすべてを英語によって賄うくらいの文字通り「徹底的に」行うことが重要となることは明らかです。

このことから、特に日本国内における幼児に対する英語教育というのは、その人間の将来が定まっていない幼児期に「母国語」をとるか「英語」をとるのかの選択をせざるを得ないまさに厳しい覚悟の問題であるということを理解する必要があるものなのです。

果たして、現在の日本において上記の環境を作り出すことができる家庭がどれほどあるのかを考えた時、著者のように母国語と外国語を「二項対立の概念ではなく、並行して学ぶ」ように勧めることは、多くの親御さんをミスリードしてしまうリスクを高めてしまうと思います。

著者は本書を、単なる成功者の成功報告をまとめたものではなく、一般的な家庭でも参考が可能な「教科書」として機能することを目指しているということであるならば、この幼児英語教育についての部分だけは注意が必要だと感じ、指摘をさせていただきました。

 

 

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