日本人と英語

「現在形」とは何か

2018年5月30日 CATEGORY - 日本人と英語

三回にわたって「英語の素朴な疑問に答える36章」からテーマをいただいて書いてきましたが、最終回の今回は、英文法における基本中の基本である時制、「現在形」について書きたいと思います。

英語において現在形は、基本的に原形の形をとりますので時制を学ぶときにも最も論点が少ない項目だと思われています。

しかしながら、本書において次のようなその考えを覆されるような質問が紹介されていました。

「I walk to school everyday.のwalkは『現在、只今』のことを言っているわけではないと思うのですが、それなのに【現在形】というのはおかしいと思います。」

私は普段から「おかしい」と思うことには、自分で調べたり、人に聞いたり、インターネットで調べたり、あらゆる方法を使ってその疑問を解消する習慣を身に付けたいと思って生活しています。

ですが、この質問によって改めて次のことに気づかされました。

それは、「一番シンプルなもの」こそその疑問に気づかなかったり、仮に気付いたとしてもシンプルすぎて疑問の解消のきっかけがつかめないものだということです。

この質問に対する著者の回答は以下の通りでした。

「確かにI walk to school everyday.は『毎日』walkすると言っているのですから、『現在、只今』のことを言っているわけではありません。そうなるとこれは現在形ではなく『定期形』とか『必ず形』と呼んだ方がいいかもしれませんね。しかし、I like pop music.は、確かに『現在、只今』likeしているということですから現在形と呼んでもおかしくありません。実は英語の現在形には、名前の通り『現在形』であるものと、『必ず形』と呼んだ方がいいものの2種類があります。英文法ではこの2種類のうち前者を『状態動詞state verb』、後者を『動作動詞event verb』と名付けて区別しています。状態動詞likeは、只今だけ『好き』というわけではなく、いつ好きになりはじめいつ好きでなくなるかについては意識しないため『いつでもいい形』と呼びたくなります。一方動作動詞walkには、はじめと終わりがあります。歩こうと思って歩いてしまえば、それ以上歩くことはできないが、それを繰り返すことができる。つまり、『繰り返し形』と呼びたくなります。結論を言いましょう。この意味で言えば『現在形』という名前は適当ではありません。」

やはり、ここでも名は体を表してはいなかったのです。

にもかかわらず、その名のシンプルさに誤魔化され、現在形という最も基礎的な時制であるという区分を疑う機会を与えられてこなかったと言えるのかも知れません。

ただ、「現在形」というシンプルな名称を使わないとするとどうするのか、動作動詞には『必ず形』『繰り返し形』、状態動詞には『現在形』『いつでもいい形』というように動詞の個性ごとに分類して別個に名前を付けるというのも、学習者の助けになるとも思えません。

どこまでをひとまとめにするのかという「諦め」ポイントの設定は非常に難しいものだと感じます。

ですが、そうであるならば、それを教える時にその論点を分かりやすく提示して、学習者一人一人が自分自身で「諦め」ポイントの設定をするサポートをしてあげるのが教える側の責任ではないかと思いました。

その責任から決して逃げない指導者でありたいと思います。