日本人と英語

「文頭強調」と「文末焦点」のどちらがより重要なのか

2022年11月6日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「ヘミングウェイで学ぶ英文法」からテーマをいただいて書いていきたいと思いますが、第一回目のテーマは「文頭強調と文末焦点」です。

以前に、「文頭becauseを使ってはいけない説の真偽」という記事の中で「文末焦点の原則」すなわち「話者が伝えたい重要な情報や相手にとって初めて耳にする新しい情報は文末に置く」という原則を学びました。

しかしながら一方で、私たちはそれとは全く逆のケースもかなり頻繁に見ることがありますので、そのケースに関する解説を以下に本書より引用します。

「In the good weather there was always an artist with his easel.

文中で、in the good weatherのような副詞句は比較的自由な位置に置くことができます。しかし、時や様子を表す副詞句は文末に置かれるのが基本です。ですから、こうした副詞句を敢えて文頭に持ってくる場合は、状況や場面の設定、すなわち話し手がこれから語ろうとすることの導入や、話し手の立場からのコメントになります。その結果、強調や対比という効果を生じさせることになります。(一部加筆修正)」

上記のように、「文末焦点の原則」だけでなく「文頭強調」のどちらも「強調」につながることは理解できましたが、この二つのどちらがより大切な情報なのか明示されていません。

しかし、「文頭強調」の本来の意味合いが状況(場面)設定機能であるということは、やはりこちらの「強調」はあくまでも副次的効果あるため、そもそも大切なものを文末に持ってくるという構造上のルールである「文末焦点の原則」が大前提があって、それとは別に「倒置」という本来の場所とは異なる場所に置くことで重要性を示すテクニックとしての「文頭強調」があると理解すべきと考えられます。

その証拠に、別の章において次のよう文章を使って以下のような解説がなされていました。

「Around his eyes were two white circles where his snow-glasses had protected his face from the sun on the snow. 

この文の主語は『two white circles (where his snow-glasses had protected his face from the sun on the snow)』でこれを文末に持ってくることで文末に新しい情報が来ることになり、『雪の照り返しから目を守るためにしていたゴーグルの白い跡がついていた』という新情報に焦点を当てていることが分かります。」

これは「文末焦点(two white circles (where his snow-glasses had protected his face from the sun on the snow))」が「文頭強調(Around his eyes)」(倒置)に勝ることを明確に示した例だと思います。

私は、たい焼きは断然シッポ派なので理解しやすくて安心しました。(笑)

ただし、このような構造上のルールVSテクニックという優劣という意味ではそうでしょうが、実際にそれを運用している英語話者個人個人がそのことを意識しているわけでもないので、文法がスポーツのルールほどすべてをコントロールしているわけではありません。

その意味でいえば、原則はそうであっても実際には言葉を発する個人個人の心次第となるのは当然で、あくまでも「傾向」くらいに理解しておくべきでしょう。